順調に観光客数を伸ばしているスリランカですが、観光地としての魅力は依然埋もれたままで、世界に十分アピールできていないという指摘があります。観光立国としてどのような戦略をとるべきなのか、スリランカのツーリズム専門家であるShaun Mann氏へのインタビュー記事をお届けします。

観光資源を活かしきれていないスリランカ

観光立国となりえるポテンシャルをもっていても、比較的まだ観光客の注目を集めていない国がある。特に政情不安や極度の貧困状態に陥っているために観光客がほぼ訪れない国などでは観光セクターが未開拓だ。一方ですでに人気のある観光地では、人が込み入っているし、値段も高くなっている。

 

スリランカは世界に通じる魅力的な観光資源をもっているが、観光地として注目を集めてきたとは言えない。「ヴィジット・スリランカ」キャンペーンを張ったり、中国のショッピング・モールで観光PRをしたりと、様々な取り組みはしているが、さらなる努力が求められるだろう。

 

というのも、スリランカよるプロモーションは、輝く太陽と自然に、歴史を少々加え、そしてローカルの人々の笑顔をアピールするという陳腐なものだ。全ての観光客は決して同じものを求めているわけではなく、独自のこだわりをもった旅行者を惹きつけていくことが今後の課題となっている。

 

スリランカが直面している観光産業における課題について、ツーリズムの専門家であるShaun Mann氏に、インタビューで語ってもらった。

訪問客数は毎年2桁アップだが・・・

――スリランカの観光産業セクターが素早く成果をだすための議論は、デスティネーション・マーケティング戦略の話に集中します。その他に、この産業においてすぐに達成できそうな目標はありますか?

 

スリランカへの観光客は、ここ6、7年で毎年2桁の成長率で増えています。世界の中でも、このペースで成長できているところはそんなに多くはないでしょう。

 

まず認識すべきなのは、スリランカの観光産業は、少なくとも純粋に数字だけを見れば、堅調であるということです。ただ、スリランカを訪れる人のうち、デスティネーション・マーケティングによる成果は何割なのかを判断するのは難しいです。プロモーションによる成果ではなく、何年もの内戦があったため、「スリランカがどんな場所なのか知りたい」という需要が蓄積されてきた結果が、現れているだけかもしれません。

 

しかしながら、スリランカの観光産業セクターは単に目先の成果を求めるのではなく、長期的な観点をそろそろ持つべきだと考えています。今こそ未来を見据えて、観光セクターの体制整備に向けた計画が立てるべきでしょう。

 

次回は、スリランカ観光産業がまず最初に着手すべき課題についてご説明します。

この連載は、GTACが提携するスリランカのメディア「ECHELON」が2016年2月に掲載した記事「THE LONG VIEW ON TOURISM」を、翻訳・編集したものです。

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