資産を防衛するための「ポートフォリオ」は、今後の日本経済、世界経済を予測して作成する必要があります。今回は、将来のシナリオを5つに分類して見ていきます。

日本経済はどうなるのか? 5つの想定シナリオ

本連載の第14回、第15回で紹介してきた基礎編をベースに、今回は今後日本や世界に起こり得る経済のシナリオを考えながら、資産を防衛するためのポートフォリオ組成法を解説します。

 

ポートフォリオを作成するときには「将来の経済情勢を予測したうえでプランニングすること」が重要になります。これからの日本経済、世界経済がどんなシナリオになるのか。読者の皆さんも、大いに関心のあるところではないでしょうか。

 

そこで、現在予想できる5つのシナリオを想定し、それらのシナリオに沿ったポートフォリオの組み方を提案したいと思います。まずは、将来のシナリオを以下5つに分類してみました。現在の状況から好転していくものから、最悪のケースまで様々です。

 

①拡大成長シナリオ・・・アベノミクス経済は今後も拡大していく。

 

②一進一退シナリオ・・・アベノミクスや東京オリンピックによる経済効果は市場がすでに織り込み済みで、今後は一進一退になる。

 

③アベノミクス失敗シナリオ・・・アベノミクスは失敗して、日本は再び安倍政権誕生前の超円高、デフレに戻る。

 

④ハイパーインフレシナリオ・・・日本のバランシートの悪化に世界が注目し、国債などが暴落して超円安となり、日本はハイパーインフレに。

 

⑤世界大恐慌シナリオ・・・日本の経済危機や中国バブルの崩壊などで、再び世界経済が大恐慌状態に。

現金のポジションは資産規模、インフレ動向にも左右

ポートフォリオを作成するには、リスク許容度など、その人の属性や背景を決める必要があります。まずは、ポートフォリオの前提となる設定を次のようにしてみたいと思います。


●総資産・・・10億円

・居住用住宅を除く

・法人経営者の場合は自社株を除く

 

●職業・・・別にあり(別途定期収入あり)

 

現金のポジションは資産規模によって変わっていきます。10億円程度の資産規模であれば、2~3割が妥当なところですが、総資産がもっと少ない人、たとえば総資産5億円程度の人は、現金ポジションは3〜4割は必要かと思います。

 

逆に、総資産20億円の人は現金ポジションを減らして、たとえば1~2割程度にしてもいいのではないでしょうか。資産が大きくなればなるほど、現金ポジションの比率は比例して下がって行くのが一般的です。ただし、円高、デフレが今後も続くというシナリオ下では、現金のポジション比率は高くしないといけません。円の価値が相対的に上昇していくことを意味しています。

 

その一方で、超円安やインフレの世の中になったときには、現金ポジションはできるだけ早めに減少させていくことが重要です。インフレは、そのまま現金の価値が下落することを意味しており、現金ポジションはできるだけ外していく方向がいいわけです。

 

次回は、実際に各シナリオのポートフォリオを組み立て、現在想定できる範囲で有効なポートフォリオの例を見ていきます。

本連載は、2014年4月30日刊行の書籍『ヘッジファンド×海外不動産で組む 鉄壁の資産防衛ポートフォリオ』から抜粋したものです。その後の税制改正等、最新の内容には対応していない可能性もございますので、あらかじめご了承ください。
本連載の記載の内容は情報の提供および学習を目的としたものであり、本連載を用いた運用は、必ずご自身の責任と判断によって行ってください。また、本連載の内容に関して運用した結果については、著者およびヘッジファンド証券株式会社、株式会社幻冬舎メディアコンサルティング、合同会社幻冬舎ゴールドオンラインはいかなる責任も負いかねます。また、本書に記載されている情報は2014 年4 月現在のものであり、今後変更されることがあります。

ヘッジファンド×海外不動産で組む  鉄壁の資産防衛ポートフォリオ

ヘッジファンド×海外不動産で組む 鉄壁の資産防衛ポートフォリオ

植頭 隆道

幻冬舎メディアコンサルティング

相場の影響を最小限に抑え、どんなときでも一定の利益を狙える安定運用型のヘッジファンド。 所得税・地方税の節税効果が高く、投資効率も良い米国不動産。 本書ではこの2つを解説すると共に、投資家の属性別・将来のシナ…

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