特集2016.3地主の相続対策

相続・事業承継 相続対策
連載地主のための財産を目減りさせない「相続対策」【第16回】

相続対策として「贈与」を活用する際の注意点とは?

相続贈与投資信託銀行口座

相続対策として「贈与」を活用する際の注意点とは?

前回、相続対策における「贈与」のメリットを説明しました。今回は、「贈与」を行う上での留意点を見ていきましょう。

贈与は「あげた」「もらった」という事実が必要となる

贈与に関しては「本当に贈与が行われたかどうか」が、後日、相続が発生した際に税務当局との間で問題になることが多々あります。

 

そもそも、贈与は契約の一種です。契約では、当事者双方の意思の合致が必要となります。そのため、贈与する側が一方的に「あげた」だけでは不十分で、贈与を受ける側が「もらった」という意思を示さなければなりません。

 

したがって、たとえば贈与する側が自分の頭の中だけで贈与していたつもりになっているだけで、外部からは贈与の事実が全くわからないような状態になっているケースでは、贈与を受ける側はもらったという事実すら認識していないので、贈与は成立しません。

 

たとえば、110万円以下の贈与であれば贈与税がかからないという知識を聞きかじった人が、「それなら、毎年110万円を孫に与え続けることにしよう」と考えて、それを実行したとします。

 

さらに、10年後に「今まで孫に1100万円を譲り渡したことになる。これを利回りのよい金融商品に換えておいてやろう」と1100万円で投資信託を購入したとします。

 

この場合、孫に110万円ずつ与えてきた行為は、孫が認識していないので、贈与と認められません。また、1100万円の投資信託を購入したことも、やはり孫はその事実を承知していないので贈与と認められません。

 

つまり、1100万円は贈与したつもりになっている人の財産のままであり、その人が死んだ後は相続税の課税対象となります。

通帳を「自分で」管理していたか否かが分かれ目となる

では先の例で、孫名義の銀行口座が作られており、そこに毎年110万円が振り込まれていたとしたらどうでしょうか。

 

昔は、このように贈与を受ける者の口座が存在する場合、贈与をする側が通帳を管理していることが少なくありませんでした。贈与した金銭がムダに使われてしまったり、あるいは「孫がお金があることを知ると働かなくなるかもしれない・・・」などと懸念したためです。

 

しかし近時は、贈与を受けた側が自身で通帳を管理していないと、税務当局からは贈与とは認められない傾向が強まっています(未成年者の場合であれば、その親が管理することになるでしょう)。

 

つまり、例に即して言えば、贈与を受ける孫が自分自身で通帳を管理していなければ、贈与としては認められません。

 

したがって、相続税対策のために金銭を贈与する場合には、贈与を受ける者の口座に振り込み、なおかつ、その通帳を受贈者本人に管理させることを忘れないようにしてください。

本連載は、2013年12月2日刊行の書籍『地主のための相続対策』から抜粋したものです。その後の税制改正等、最新の内容には対応していない可能性もございますので、あらかじめご了承ください。

土田 士朗

税理士法人土田会計事務所 代表社員

1964年東京都小平市出身。1987年3月成蹊大学経済学部経営学科卒業。1996年2月税理士登録。2009年税理士法人土田会計事務所代表社員就任。TKC全国会会員。TKC西東京山梨会副会長。東京税理士会理事、地元農業協同組合顧問及び監事を歴任。学生の頃から父の税理士事務所で相続税の申告を手がけ、特に土地持ち富裕層の相続を得意としている。不動産所有型法人等を活用し、所得税・法人税・相続税のバランスの良い節税案件を多く手がけている。

著者紹介

連載地主のための財産を目減りさせない「相続対策」

地主のための相続対策

地主のための相続対策

土田 士朗

幻冬舎メディアコンサルティング

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