賃貸用住宅建築による相続税対策の効果とリスクについて、どのように判断すべきなのでしょうか。今回は、その際の具体的なチェック項目を見ていきます。

中・長期の家賃収入を「慎重に」予測する

賃貸用住宅建築による相続税対策の効果とリスクをどう判断すべきか、個別に事情が異なるため、単純な判断はできないのですが、迷っている方は次のような点に注意しながら、検討している計画をチェックしてみてください。

 

①5年後、10年後など将来の家賃収入について、その額と確実性を見通せていますか。特に建築資金の大半を借入金でまかなう場合は、慎重に中・長期の家賃収入を予測してください。

 

②高額の建物ほど、相続税の圧縮効果は高いですが、メンテナンス費用も大きくなるので、それに充当する資金が準備できるかを検討する必要があります。事業計画の中に、このための資金準備が盛り込まれていますか。

 

③建築した賃貸用住宅と、それに付随する借入金を承継する相続人は決まっていますか。共有を避けるプランとなっていますか。

 

④建築を請け負う会社の姿勢や永続性が信頼できますか。賃貸用住宅の建物は長く良い状態で保つ必要があります。派手な広告や建築費だけを基準に選ぶのは危険です。

物件紹介会社や税理士など「複数の専門家」に相談を

⑤近隣の賃貸市況は確認しましたか。地元の物件紹介会社から、生の情報を引き出すことができれば、確実性の高い判断ができます。

 

⑥建築による相続税の減税効果はどれくらいですか。資産税専門の税理士に相談し、種々の思惑が入らない、正確な数字を知った上で判断することが大切です。

 

リスクばかりを考えすぎると、対策はなにも進みませんが、あまり短期間で決断するのも危険です。金融機関や建築業者から与えられた情報だけに基づいて判断するのではなく、ご自身が動いて情報を集め、複数の専門家に相談するとよいでしょう。

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    本連載は、2014年3月20日刊行の書籍『家族と会社を守る「不動産」「自社株」の相続対策』から抜粋したものです。その後の税制改正等、最新の内容には対応していない可能性もございますので、あらかじめご了承ください。

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