減価償却狙いの不動産投資で「5年」がキーワードになる理由

減価償却を活用した不動産投資では「5年」がひとつのキーワードになります。今回は、その理由などを改めて見ていきましょう。

短期譲渡所得になると、逆に税負担が増える可能性も

不動産の減価償却の場合、総合課税の最高税率50%(平成27年分からは55%、住民税を含む)の対象となる所得を繰り延べて減らし、繰り延べられた所得は、長期譲渡所得として、20.315%で課税されることにより、差額の約30%がタックスメリットになることは、前回述べました。

 

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ここでのポイントは、譲渡所得を長期譲渡所得にしなければ20.315%の税率は使えないということです。短期譲渡所得になってしまうと、税率は39.63%が適用され、タックスメリットどころか、逆に税負担が増えてしまうことにもなりかねません。長期譲渡所得にするためには、譲渡した年の1月1日現在の所有期間が5年超にすればいいわけです。

課税のタイミングを遅らせることが法人のメリット

ここまで個人の話をしてきましたが、法人の場合、減価償却を使ったタックスメリットは課税のタイミングを遅らせることにあります。例えば、事業に特需が発生して4年程度は多額の黒字所得が見込めるが、その後は赤字に転落するかもしれないという場合、海外の中古不動産投資を活用することが考えられます。

 

中古市場が発達していて売却が容易な不動産物件を取得し、減価償却費を集中的に計上することにより、黒字期間の所得を圧縮するとともに、赤字期間には資産を売却して、売却益を赤字と相殺することにより、全体として節税を実現できる可能性があります。

 

米国に支店等を有しない日本法人が米国不動産投資を行う場合、個人の場合と同様に、原則として賃貸収入等の30%が米国の不動産管理会社等によって源泉徴収され、米国での課税関係が終了することになります。

 

この場合、米国に納めた税金の日本における取り扱いは二つあります。

 

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一つは、米国で源泉徴収された税金を日本法人の損金とする方法です。日本の税法に従って計算して、米国不動産の賃貸収入に係る所得が赤字になる場合でも、損金にすることができます。

 

もう一つは、米国で源泉徴収された税金を日本法人の法人税から控除する(外国税額控除)方法です。日本の税法に従って計算して、米国不動産の賃貸収入に係る所得が黒字になるなど一定の要件を満たせば、外国税額控除を使うことができます。

 

最後に、海外の中古不動産のなかには、償却年数が4年、7年と短い物件が比較的豊富にあり、その期間中、一般的には賃貸収入の所得は減価償却を使って赤字になりますので、課税の繰延に活用することができます。

 

例えば、木造の住宅用建物の法定耐用年数22年を全部経過している中古建物の耐用年数は簡便法で4年になりますし、れんが造や石造の住宅用建物の法定耐用年数38年を全部経過している中古建物は簡便法で7年になります。海外不動産を視野に入れると課税を繰り延べたい期間に応じた物件選びの幅が大きく広がるのです。

本連載は、2014年4月25日刊行の書籍『スゴい「減価償却」』から抜粋したものです。その後の税制改正等、最新の内容には対応していない可能性もございますので、あらかじめご了承ください。
本連載の内容に関しては正確性を期していますが、内容について保証するものではございません。取引等の最終判断に関しては、税理士または税務署に確認するなどして、ご自身の判断でお願いいたします。

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連載元・東京国税局部長が明かす、スゴい「減価償却」

杉本俊伸税理士事務所 所長・税理士

1967年宮城県生まれ。中央大学法学部を卒業後、国税庁入庁。大曲税務署長、関東信越国税局調査査察部国際調査課長、ハーバード大学ロースクール、財務省主計局主計官補佐、国税庁資産課税課課長補佐、税務大学校研究部主任教授兼国税庁国際業務課、東京国税局調査第三部長等を経て、2013年12月退官。2001年米国公認会計士資格合格。東京国税局の調査部長として大企業の税務調査を指揮したほか、国税庁では全国国税局の資産課税事務の指導監督などを経験。現在は相続・事業承継、税務調査対策、国際税務に関するコンサルティングに取り組んでいる。

著者紹介

スゴい「減価償却」

スゴい「減価償却」

杉本 俊伸+GTAC

幻冬舎メディアコンサルティング

「減価償却で節税」とはよく聞きますが、課税と節税の仕組みを十分に理解して使いこなせている人は多くありません。 減価償却を活用するポイントは、タックスマネジメントです。タックスマネジメントとは、税額や納付のタイミ…

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