インターネット×金融の発展に伴い、世界中でスタートアップ企業が設立されていますが、スリランカも例外ではなく、既に160以上のスタートアップ企業が確認されています。競争の激しくなる中、スリランカのスタートアップ企業には、どのような戦略が求められるのでしょうか。

資本と市場を惹きつけられるか?

PC用だろうと携帯用だろうと、アプリケーションを作ることはこれまでかつてなかったほど簡単になった。また、スリランカの起業家がシード・キャピタル(※1)を獲得しやすくなっている一面もある。それらの要因が合わさり、スタートアップ企業や若い創業者たちの数はこれまでにないほどに増加中だ。

 

しかしながら、スリランカの研究開発に対する投資は、新しい発明を一定のペースで絶えず生み出すには十分ではない。そのため、競合他社を寄せ付けないような中核となり得る独占開発技術を扱うスタートアップ企業はたった数社しか設立されていない。

 

ITセクターでは、企業間取引を中心とした革新的な企業が何社か誕生している。これらの企業の創設者たちは西洋のマーケットにネットワークを持ち、そこからベンチャー・キャピタルとアーリー・アダプター(※2)たちを確保できた。このような人脈を持たないスリランカの新しい起業家にとっては、個人向けネット空間の方が活動の場として、より魅力的に映るだろう。その方がおそらく高度な技術を要求されないはずだからだ。

 

単純な個人向けアプリは、複製するにあたり技術上の困難はない。実際、スリランカでは既にeコマースやオンライン求人広告などいくつか分野で競争が数多く起きているようだ。スリランカのマーケットの規模の小ささを考えると、若手が集中的に同じ分野に新規参入を試みることは、さほどの価値をもたらさない可能性がある。

ニーズに合わせるか、ニーズを創出するか

それでは、スリランカの若手テクノロジー起業家は、この先どういう分野に参入するべきなのだろうか。スリランカでの状況に照らし合わせれば、個人向けインターネットサービスのスタートアップ企業は大きく2つに分けることができるだろう。

 

ひとつは、明白かつ比較的幅広くニーズがあると見られるマーケットに参入するスタートアップ企業だ。たとえば、診察予約(e-Channeling)や航空券手配(Findmyfare.com)をより簡単に済ませられるサービス、あるいはオンラインショッピング(takas.lk)などが挙げられるだろう。

 

もうひとつは、今までになかったビジネスモデルに実験的に取り組むことだ。その市場規模は現地に留まらず、成功を収めれば旅行代理店サイトであるTrekuriousのように世界的に広ることもできる。

 

前者の分野におけるスタートアップ企業にとって、収入を生み出すビジネスモデルやプロセスを考えることはさほど複雑ではないだろう。これらのビジネスモデルの大半は、より成熟した国外のマーケットで既に試されている。そして、このようなビジネスモデルに携わるプレイヤーの目的は、それぞれの分野での勝者になることだ。一定のニーズが見込めるマーケットのため、成功すれば相当の利益を生む大企業へと成長できるチャンスも大きいといえる。


後編は、スタートアップ企業におけるスリランカの役割を考察します。

 

※1シード・キャピタル

立ち上げ直後の初期段階(アーリー・ステージ)にいるスタートアップ企業に投資するファンドのこと。

※2アーリー・アダプター

マーケティング用語で、新商品・新サービスの早い段階での受用者のこと。

この連載は、GTACが提携するスリランカのメディア「ECHELON」が2015年12月に掲載した記事「WHAT TYPE OF TECH STARTUP SHOULD YOU DO?」を、翻訳・編集したものです。

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