小型航空機の購入にあたって把握しておくべき「リスク」とは?

今回は、実際に小型航空機を購入する際の留意点、把握しておくべき「リスク」などを見ていきます。

購入時には各種証明書、費用内容、登記手続きの確認を

前回まで、小型航空機に投資を行うことにより得られる財務メリットについて説明をしました。では、実際に購入(=投資)する場合、どのような点に注意すれば良いのでしょうか? また、リスクはどのようなものがあるでしょうか。今回は、これらについて確認していきましょう。

 

 

まず、購入時の注意点としては以下のものが考えられます。

 

1.型式証明・耐空証明の確認

 

購入を検討している航空機が、飛行するために必要な認可が取得できているかどうか確認する必要があります。

 

型式証明は、航空機が設計上の安全性や環境適合性の基準に合致していることを証明するものです。アメリカで製造された航空機はアメリカ連邦航空局(FAA)、ヨーロッパで製造された航空機は欧州航空安全機関(EASA)が型式証明を発行しています。日本で製造した場合は国土交通省が発行する証明が必要となりますが、日米間の協定によりFAAの型式証明でも承認されることになっています。型式証明に有効期限は無く、一度取得した型式証明通りに設計された航空機は、都度の証明を取得することなく製造が可能となります。

 

一方、耐空証明は1機毎に取得する必要がある証明であり、自動車で言えば車検に該当します。有効期間は1年であり、アメリカではFAA,日本では国土交通省が検査を行います。上記2つの証明が無ければ、飛行することはできませんので購入前に確認する必要があります。

 

2.諸費用の内容の確認

 

航空機の購入時には機体価格に加え、以下の諸費用が含まれているかどうかの確認が必要です。

 

①FAAあるいはEASA登録手数料

②引渡し場所までの輸送費、航空保険料

③通関費用

④輸入手続き費用

 

対象となる機体が新造機が中古機なのか、引渡し場所がどこかによって、費用は大きく変わってきます。全て売買契約に明記されますが、金額が大きく変わってくるので、その内容の確認が必要です。

 

3.登記手続き

 

無事に機体が購入できた後には、その所有権を明示するため、対象機体が運航する国にて所有の登録を行います。不動産の土地・建物登記と同じように、航空機も登記を行うことができ、日本で運航する場合は国土交通省航空局が管理する航空機登録原簿に記載を行います。登記の内容は、登記日、目的、航空機の種類・型式、製造者、所有者、権利事項などです。根抵当権や抵当権の設定も行うことができます。

リース先が海外の航空会社なら為替変動リスクにも注意

では、購入のリスクはどのようなものでしょうか?

 

1.航空機の事故リスク

 

航空機は事故により、全損あるいは分損リスクがあります。修復可能な破損は、航空会社(レッシー)が自己の責任と負担により修復する義務を負いますが、全損発生時には、航空会社が付保する保険金にて対応します。事故により想定していたリース料が受け取れない、保険金で投資額の全てが回収できないリスクがあります。

 

2.航空会社(レッシー)の倒産ないしデフォルトリスク

 

空会社の倒産により想定していたリース料が受け取れないリスクがあります。航空会社の財務の安全性はどうか、リース料が支払われない場合の保証がどうなっているのか、確認する必要があります。

 

3.為替変動リスク

 

リース先の航空会社が海外の場合、購入・売却時の支払い、リース料の支払は原則ドル建です。購入時と売却時の為替変動により、購入元本が毀損するリスクがあります。

 

4.航空機の保守・整備リスク

 

航空機の保守・整備はその良否でその価値が左右されます。エンジン等の主要装備が基準・法律等に基づいて行われていない場合、売却時に想定した価値が下落し、購入元本が毀損するリスクがあります。機体の整備・保守がきっちりとおこなわれているか、定期的にモニタリングが必要です。

 

5.航空機市場リスク

 

航空機の中古市場は世界レベルで安定的に推移していますが、突発的な大事故(テロ、旅行需要の大幅な減少)により、市場が悪化すると購入元本が毀損するリスクがあります。
小型航空機は使用形態がジェット機と違うため、上記の影響は受けにくいと考えられますが、流通量はジェット機に比べ少ないため、中古市場の厚みが無く注意が必要です。

 

 

以上、9回にわたり小型航空機の投資の魅力についてご説明してきました。普段、あまり目にすることの少ない航空機ですが、注目を集める航空機リースの一つとして扱われており、その魅力を感じて頂ければと思います。

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連載法人の財務戦略活用で注目!小型飛行機投資の最新事情

株式会社せとうちホールディングス 執行役員 営業統括本部長

シンクタンク等の勤務を経て、2003 年以降、国内外複数の不動産ファンド会社にてアクイジション、アセットマネジメント、投資家・レンダー対応等、幅広い業務に携わる。2015 年より現職。東京工業大学大学院修了、工学博士(金融工学)。

著者紹介

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