貸借対照表からキャッシュ管理の良否がわかる「流動比率」

会社の利益を増やすには、まず会計を知ることが大切です。本連載は、2015年12月に刊行された公認会計士・吉川武文氏の著書、『技術屋が書いた会計の本』(秀和システム)の中から一部を抜粋し、会計の基礎知識をわかりやすく解説します。

 

「貸借対照表で会社のキャッシュ管理の良否を確かめるには、①すぐに返済しなければならない短期の借入金と、②手許にあるキャッシュを比較すればよいのではないだろうか」

 

 

吉田:貸借対照表でキャッシュ管理の良否を確かめる指標について調べてみたかな?

 

高杉:はい・・・、実はネットで「財務・安全性」で調べたら、たくさんの指標が出てきました。どれも趣旨は同じようなのですが、なんだか似ていて見分けがつきません。何を使ったらよいのでしょうか?

 

吉田:そうだね、確かにいろいろな指標があってまぎらわしいね。少し慣れてくるまでは、「流動比率」を使ったらよいのではないかと僕は思う。貸借対照表上の小計欄がそのまま使えて便利だ。

 

高杉:流動比率って、確か流動資産÷流動負債が100%を超えていればOKという指標でしたね。

流動比率=流動資産÷流動負債

 

吉田:丸暗記は大変だから視覚的に理解したらよいと思う。図1を見てごらん。流動比率が100%を超えているということは、流動資産が流動負債より多いということだ。流動資産はすぐお金になる資産、流動負債はすぐ返済しなければならない借入金だ。だから「流動資産>流動負債」なら当面の支払いは安全と判断するわけだ。実際には少し余裕を持って120%位を目安にするとよいと思う。

 

[図1]財務安全性(流動比率)

 

高杉:逆に「流動資産<流動負債」だと、返済が滞るリスクがあるということですね。

 

吉田:その通り。これが財務安全性の評価の出発点になる考え方だ。たとえば他の安全性の指標に固定長期適合率というものもある。これは固定資産÷(固定負債+純資産)で計算するもので、100%を超えてはいけないとされる指標だけど、流動比率と比べてみると視点を変えて同じ評価していることがわかると思う(図2)。

 

[図2]財務安全性(固定長期適合率)

 

高杉:確かに図1と図2では、色の塗り方が逆になっただけです!

 

吉田:自分で使いやすい指標を選んで、感覚をつかむとよいと思うよ。

 

 まとめ  
貸借対照表でもキャッシュ管理の良否を確かめることができる。 

イラスト(登場人物):土屋 巌

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連載会社のコスト削減・利益向上を目指す「会計入門」

横河ソリューションサービス株式会社 公認会計士

東京工業大学工学部修士。約20年間エンジニアとして技術革新やコストダウンで成果を挙げ、三菱化学プレジデント表彰等を受賞、特許出願多数。その過程で製造業の原価管理について徹底研究した後、監査法人トーマツにて財務監査や内部統制監査にも従事した異色の経歴を有す。
技術と会計を融合した新しい視点に立ち、製造業の抜本的な競争力回復に資する設備投資、コストマネージメント、在庫管理、研究開発の管理などの分野でコンサルティングやセミナーを実施するとともに、会計士有志とプロジェクトを組み、経営判断に真に役立つ会計のあるべき形について提案を行っている。

著者紹介

技術屋が書いた会計の本

技術屋が書いた会計の本

吉川 武文

秀和システム

製造現場の技術者は、開発もそっちのけで日々コストダウンに取り組んでいます。しかし、会計の知識がなければ努力の成果が目に見えず、コストダウンも迷走します。 本書は、製造業の技術者向けに、会社の利益を増やす会計の知…

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