クリニックM&Aにおける「譲受のベストタイミング」とは?

前回は、現院長から次期院長へ、切れ目なくバトンタッチする方法を説明しました。今回は、M&Aを行うにあたって意識すべき「譲受のタイミング」について見ていきます。

買い手が最も欲しがるタイミングとは・・・

M&A成功のためのベスト・タイミングには〝自分にとってのベスト時期〟の他に〝相手にとってのベスト時期〟という要素も関わってきます。M&Aは売り手と買い手の両者で成功させるものだからです。

 

相手にとっての譲受のベストタイミングは、ひと言でいえば「求めるクリニックの条件が最も良いとき」ということになるでしょう。

 

クリニックにおける患者は、民間企業でいう顧客に相当します。いつも商品を買ってくれる固定客、つまり常連患者がすでにたくさんいるクリニックや、これから患者が増える可能性の高いクリニックなどは、とても魅力的です。将来性のあるクリニックなら今が買いどきという判断になるでしょう。

 

M&Aでは綿密なデューデリジェンスが行われます。そこではクリニックの実状が丸裸になります。前もってM&Aを視野に入れて経営をしていれば、そこで見劣りしないように常に集患に気を配り、高い収益を維持するよう財務面でも努力できます。

 

集患以外にも従業員の勤務態度やサービスが優れているとか、地域や近隣の医療機関との連携がいいという要素も、譲受を希望する医師の購買意欲を高めます。相手が何を求めているかを意識して、クリニック作りをしていくことが大事です。

 

ベスト・タイミングを見極めるためには、移行期間やクリニックの価値を考えておかなければなりません。そしてそのためにも、開業医の皆さんにはクリニックを続けながらも常に客観的に〝タイミング〟を計る目を養うようにしていかなければなりません。

専門家の協力を仰ぐなど、対策は早めに行う

私どもは廃院をお手伝いすることもありますが、開業医の方は仕方なく廃院を選んでいるケースが多く見られます。自ら進んで廃院したいというよりも、他の手段を検討する時間がなかったり準備期間が足りなかったりして、結果として廃院以外に選択できなかったのです。

 

そして皆さんが口を揃えて言うのが、もう少し早く対策を考えておけばよかったという後悔です。

 

ベストなM&Aのタイミングを逃さないための客観的な目は、自分の中に持つことも必要ですが、プロの目を借りることもできます。クリニックM&Aに長けた専門家の目から見てもらい、ベストのタイミングをアドバイスしてもらえば安心です。専門家はM&Aというマラソンを完走するための伴走者となって、開業医を支えてくれるに違いありません。

本連載は、2015年9月25日刊行の書籍『開業医のためのクリニックM&A 』から抜粋したものです。その後の税制改正等、最新の内容には対応していない可能性もございますので、あらかじめご了承ください。

岡本雄三税理士事務所 代表
株式会社MARKコンサルタンツ 代表 

岡本雄三税理士事務所代表。株式会社MARKコンサルタンツ代表。税理士、行政書士、宅地建物取引士、M&Aシニアエキスパート、経済産業省認定経営革新等支援機関。1967年生まれ。1991年、早稲田大学商学部卒業。1998年、岡本雄三税理士事務所開設。2000年、公益社団法人日本医業経営コンサルタント登録。個人医院の開業、医療法人の設立、税務など、医業コンサルティング業務のほか、一般法人の税務、事業承継、M&A支援、資産税にかかわるコンサルティング業務を手掛ける。

著者紹介

連載クリニックM&Aを成功に導く「6つのポイント」

開業医のためのクリニックM&A

開業医のためのクリニックM&A

岡本 雄三

幻冬舎メディアコンサルティング

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