資産運用 株式投資
連載インフレ時代の投資入門【第26回】

資金調達における株式(エクイティ)と借金(デット)の違い

融資ベンチャー企業出資金

資金調達における株式(エクイティ)と借金(デット)の違い

前回は、株式投資とギャンブルの大きな違いを理解するために、「株式投資の仕組み」について説明しました。今回は、外部資金の調達における株式(エクイティ)と借金(デット)の違いについて見ていきます。

起業の場合、やはり簡単には借金できないだけに・・・

会社がお金を集めたいと思ったとき、必ずしも株式を発行して、所有権を売り渡す必要はありません。もっと普通に、銀行などの金融機関でお金を借りることも可能です。この場合は借金となるので、決められた期間内に金利をつけて返済しなければなりません。

 

しかし、起業したばかりの会社というものは、そう簡単に借金ができません。なぜかといえば、起業というのは、一説には失敗する確率が9割ともいわれるリスクの高いものだからです。そんなに失敗するリスクの高い事業に、簡単にお金を貸してくれる金融機関はありません。そのため、多くの場合は、出資金を募るというかたちでお金を集めるしかないのが実情です。

 

なぜ、借金よりも、株式発行による出資金のほうが効率的かといえば、借金は返済が前提となっていますが、出資金はそうではないからです。返済が前提になっている借金とは、銀行にとってみれば融資です。融資とは、ローリスク・ローリターンの投資ですから、返済できるかどうかを厳しく吟味します。そして多くの起業は、その吟味にかないません。

ベンチャー企業に出資する人の基本的な考えとは?

しかし、ベンチャー企業に対して出資する人は、ハイリスク・ハイリターンの投資のつもりでいます。当たれば大きな利益があるけれども、外れる可能性が高いことも承知しています。一種の賭けのようなかたちで出資するので、借金よりも審査が緩くなるのです(とはいっても、ベンチャーキャピタルの審査などは非常に厳しいといわれています)。

 

ベンチャー企業が成功して上場にまでこぎつけた場合、当初、出資した人の株式の価値が100倍や1000倍になることも珍しくはありません。それだけのハイリターンが見込めるのだから、多少のリスクは許容しようというのが、ベンチャー企業に出資する人の考えでしょう。逆に、ベンチャー企業にお金を貸す行為は、ハイリスク・ローリターンでうまみがないと考えられてしまうのです。

 

実際のところ、出資者を見つけるのも非常に難しいので、多くのベンチャー企業は、創業社長の個人資産とその家族からの出資で資本金をまかなっています。この場合、創業社長=株主=会社の所有者となります。

 

以上は、ベンチャー企業の話ですが、事業に必要なお金を集める方法が、株式(エクイティ:equity)の発行と借金(デット:debt)の2種類であることは、どんな株式会社にとっても同じことです。もちろん、事業利益を上げて内部留保を使うという王道もありますが、外部の投資家から資金を調達する方法としては、大きく株式(エクイティ)と借金(デット)の二つがあるわけです。

本連載は、2014年7月29日刊行の書籍『インフレ時代の投資入門』から抜粋したものです。その後の税制改正等、最新の内容には対応していない可能性もございますので、あらかじめご了承ください。

杉浦 和也

パインブリッジ・インベストメンツ株式会社 代表取締役社長

学習院大学経済学部卒業後、1985年に野村證券投資信託委託入社。日本株式運用、総合企画、秘書室勤務を経て野村アセット・マネジメント・シンガポール、野村ブラックロックで幅広い資産運用ビジネスを経験。その後、メリルリンチ・インベストメント・マネジャーズのディレクターを経て、2002年5月に投資信託本部長としてAIG 投信投資顧問(現 パインブリッジ・インベストメンツ)入社、その後、常務執行役員投資信託本部長を経て、2011年6月から現職。日本証券アナリスト協会検定会員。

著者紹介

前野 達志

パインブリッジ・インベストメンツ株式会社 執行役員 グ ローバル・マルチアセット運用部長

慶應義塾大学商学部卒業後、1987 年に三井生命保険入社。1993年より同社英国投資顧問現地法人に勤務し、ロンドン・シティからグローバルな株式・債券投資を行う。その後、スカンディア生命保険、三井住友海上シティインシュアランス生命保険を経て、2004年にAIG 投信投資顧問入社。その後、執行役員 運用本部長兼グローバル・バランス運用部長を経て、2013 年1 月より現職。日本証券アナリスト協会検定会員およびCFA 協会認定証券アナリスト。

著者紹介

連載インフレ時代の投資入門

インフレ時代の投資入門

インフレ時代の投資入門

杉浦 和也・前野 達志

幻冬舎メディアコンサルティング

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