ビルを「区分所有」にして、財産の流動化に成功した事例

前回は、「会社分割」を活用した相続対策を紹介しました。今回は、時価10億円以上の少し大きめのビルを所有している場合、「区分所有」の活用が有効になるケースを見ていきます。

財産として残したい兄、売却を希望する弟

時価10億円以上の少し大きめのビルを所有している方は、財産承継のための流動化策として「区分所有」によるビルの一部現金化が効果的です。

 

それでは、筆者の会社にご相談に来られたビルオーナーさんの成功事例を見てみましょう。

 

新宿に時価15億円のビルを保有するビルオーナーのDさん(50歳)は、先代からの相続で弟と共有で不動産を所有しています。年を取ってきたため自分で管理していることにストレスを感じていましたが、Dさんは、先祖から受け継いだ商業ビルを手放したくないとも思っています。その一方で弟は売却したいと言い出しました。

 

この土地と建物は、先代の父親が戦後、苦労して手に入れた思い入れのある物件で、Dさんにとっても自分自身の生命線のような財産だと考えています。何度か、弟と話し合いを持ちましたが、彼の意志も固く、「さて、どうすればいいか」と悩んでいました。

共用部分と分離することでフロアの単独所有が可能に

そんなときに、不動産会社主催の税務相談会で弊社と出会い、相談されたというわけです。筆者は、Dさんの状況を聞き、区分所有による現金化がいいのではないかと提案しました。ビルをフロアごとに区分所有にすることで、小口化、流動化を実現できる方法で、最近はその専門業者も出てきました。

 

兄と弟の持分をフロアごとに分離し、さらに共用部分も分離することで、フロアごとに単独所有が可能となり、弟の持分を区分所有専門業者に売却することができました。

 

今後の管理はすべて管理組合に任せ、テナントの賃貸も不動産会社に委託しましたので、管理料などはかかりますが、ビル管理のストレスからも解放されました。Dさんは、次世代に財産承継しやすい資産となったと喜ばれています。

 

[図表]ビルを区分で売却し相続

本連載は、2013年7月29日刊行の書籍『ビルオーナーの相続対策』から抜粋したものです。その後の税制改正等、最新の内容には対応していない可能性もございますので、あらかじめご了承ください。

連載ビルオーナーのための「不動産所有法人」による相続対策

マックス総合税理士法人 代表社員 税理士

昭和46年横浜市生まれ。平成10年税理士試験合格。平成11年東京税理士会に税理士登録。都内の不動産所有者を多く扱う会計事務所に勤務した後、東証一部上場の情報通信系ベンチャー企業に社内税理士として勤務。法務部、主計部に在籍。
その後、平成13年に川合総合会計事務所を開業し、独立。平成21年にはマックス総合税理士法人に組織変更して現在に至る。資産家に対し、財産に関するコンサルティング業務や講演を行うなど幅広く活躍している。また、国内外に不動産を所有する投資家でもある。

著者紹介

ビルオーナーの相続対策

ビルオーナーの相続対策

川合 宏一

幻冬舎メディアコンサルティング

ビルを所有しているような資産家であれば、顧問税理士をつけて節税も抜かりなくやっていて不思議はなさそうなものですが、実はほとんど有効な手だてを講じていない人が多いのが現実です。 そのため、そのような人は相続税で数…

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