不動産の活用で「経営と相続」の問題を一度に解決する方法

前回に引き続き、不動産を使った具体的な相続対策について解説します。今回は、不動産によって相続面だけでなく、会社の収益度、安全度も改善するというアプローチを見ていきます。

資金を生まないのに相続税評価額は高くなる!?

前回に引き続き、自動車関連部品製造業を営むAさんの、不動産を活用した相続対策について見ていきましょう。

 

保有資産の大半が自社株。相続税は3268万円になるという試算も現在までのところ、Aさんの会社の経営は順調なため、自社株の評価は1株あたり1235円と相対的に高めで推移しています。保有しているだけで資金を生まない自社株ですが、相続にあたっては高く評価されてしまうのです。

 

その数字でAさんの相続税評価額を計算してみると、1億9760万円余という数字に。このままで息子が相続するとなると、3268万円もの相続税を納めなくてはいけないことになってしまいます。

 

しかし、それだけの額を払うには現金が足りません。さらにこの額を納め相続するのが先行きの不安を抱える会社ということでは、息子にとってはありがたくない相続といえます。また、今後景気や業績の変動があれば、金額は大きく変わってしまいます。予想を立て、相続税納付資金を用意しようにも、いくらか分からなければ用意のしようがありません。

収入源を「不動産」にすることで経営上の問題を解決

この状況をMSRで分析すると、収益度が非常に低く、安全度にも大きく欠けることが分かりました。

 

そこで、私たちが提案したソリューションは、

 

①会社を廃業または売却

②事業用地を売却

③廃業後の収益を確保するための不動産購入を支援

 

というものです。収益度、安全度を大きく改善させるため、不安要因を抱えた事業を清算し、以降の収入源を不動産にすることで、経営上の問題や相続面での問題を一度に解決しようというものです。

 

[図表]MSRの改善

 

この話は次回に続きます。 

本連載は、2015年1月23日刊行の書籍『大増税時代に資産を守る富裕層の不動産活用術』から抜粋したものです。その後の税制改正等、最新の内容には対応していない可能性もございますので、あらかじめご了承ください。本書を利用したことによるいかなる損害などについても、著者および幻冬舎グループはその責を負いません。

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連載確実に資産を守る「富裕層のための不動産活用術」

株式会社みらい経営 代表取締役

昭和47年浜松市生まれ。名古屋大学卒業後東海銀行(現・三菱東京UFJ銀行)に入行。法人融資担当から大手企業での上場準備経験を経て、平成15年財務支援コンサルタントとして株式会社みらい経営を創業。資金調達、事業再生、資産形成支援、承継支援、不動産流動化支援と事業を順調に拡大。
平成16年には不動産賃貸・管理業務の株式会社アットイン設立に参加、経営に携わり平成26年にグループ化。経営・財務コンサルティングから動産・不動産活用・管理までワンストップで対応できる総合力を強みに、現在グループ5社を率いている。

著者紹介

大増税時代に資産を守る 富裕層の不動産活用術

大増税時代に資産を守る 富裕層の不動産活用術

磯部 悟

幻冬舎メディアコンサルティング

日本の富裕層のほとんどは土地を所有している地主です。先祖から受け継いだ土地を保有し、それを活用することで資産を守ってきました。ところが土地の値下がりや固定資産税の上昇、そして相続税により多くの富裕層が危機に立た…

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