原油安に代表されるように、コモディティ市況のサイクル転換が世界中に影響を与えています。資源輸出に依存しているわけではないスリランカですが、それでも経済に対するインパクトは小さくなさそうです。

下落し続けるコモディティ相場のなかで・・・

【2. コモディティ・スーパーサイクルの終焉】

スリランカの企業および消費者は、「コモディティ・スーパーサイクル」の終焉とされる2016年の状況から十分に恩恵を受けられないかもしれない。

 

中国が少しずつ原材料を必要としなくなっている状況、そして2016年には米国の政策金利が更に上昇するだろうと予期されることから、10年に及び続いた「コモディティ・スーパーサイクル」は終焉を迎えた。原油価格は昨年著しく下落し、製造やインフラに不可欠なその他のコモディティの価格も同じく急落している。

 

「コモディティ・スーパーサイクル」が始まるのは、石油採掘や油田開発への投資が不十分なときだ。供給が増えなければ価格が上昇し、見捨てられていた油田での石油採掘でも採算がとれるようになり、新たな供給源が誕生する。しかしそのうちに消費者は節約に取り組み始めるし、経済成長が失速することでも再び需要が細っていく。

引き金となったアメリカでのシェール革命

先進国の中央銀行は、2009年のリーマン・ショック をきっかけに、金融緩和政策を導入した。更に、通貨安は「コモディティ・スーパーサイクル」を拡大させてきた。

 

このサイクルが転換する引き金となったのは、シェール革命による、石油と天然ガスの生産量の急増だ。また消費者は節約を始め、最大のコモディティ消費国である中国でも経済が失速し、価格が急落するに至った。下図のようにエコノミスト紙のコモディティ価格指数は、何年にもわたって下落を続けている。そして今、アメリカは金利を上げ始めた。それは2006年以来初めてのことだ。

これらの一連の動きは、スリランカの消費者や企業にどのような影響を及ぼすのだろうか。燃料価格の低下は、消費者の購買力を急激に高めるのだろうか。あるいは、燃料価格が下がったことにより政府歳入が減って、既に弱っている国や地方財政を更に悪化させるのだろうか。


次回は、スリランカで上昇が見込まれるインフレ率の影響力などについてご説明します。

この連載は、GTACが提携するスリランカのメディア「ECHELON」が2016年1月に掲載した記事「THE BEAR YEAR」を、翻訳・編集したものです。

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