前回は、米国不動産を例にとって、海外不動産投資を行うメリットについて説明しました。今回は、減価償却を使った課税の繰延のタックスメリットを享受できる条件と、不動産投資対象国として注目に値するモナコについて見ていきます。

減価償却による課税の繰延に必要な条件

減価償却を使った課税の繰延のタックスメリットを享受するためには、次の三つの条件を満たす国の不動産物件に投資することが理想です。

 

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不動産投資額が純収入(賃貸収入−経費支出)と投資物件の譲渡代金で回収できること。投資物件の譲渡代金で回収するためには、中古不動産マーケットが十分に発達している必要があります。

 

投資対象国の不動産所得や譲渡所得に対する所得税が、ゼロか低い税率が適用されること。海外の投資不動産を保有している間、日本で減価償却費を使って不動産所得が赤字になっていても、投資国における所得計算では不動産所得が黒字になり、所得税等が課税されてしまうと、減価償却費以外の余分な必要経費が大きくなり、投資リターンを低めてしまうからです。

 

建物割合の高い国・地域であること。これまで見てきたように、建物の割合が大きければ、比較的大きな減価償却費を計上することができますので、タックスメリットも大きくなります。個人の場合、タックスメリットの一つは、結局のところ、総合課税の最高税率50%(住民税を含む。平成27年分以降55%)と長期譲渡所得に対する税率20.315%の差を利用することにあるからです。ただし、建物割合は交渉次第という面もありますので、そうした交渉ができる環境にある国なのかどうかを見極めていく必要があります。

 

この3条件をすべて満たしている国がベストということになりますが、実際は国によって一長一短があります。

所得税ゼロのモナコは優良な不動産投資対象国にも

先に、米国不動産投資について見てきましたが、日本基準で米国の不動産所得が赤字の期間中に、米国所得税が課税されてしまうと、余分な必要経費になり投資リターンを低くしてしまいます。

 

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そこで、不動産所得に対して税金を課さない国を探してみると、ヨーロッパにあります。フランスとイタリアの国境近く、地中海に面したモナコ公国です。

 

モナコ公国には、なんと所得税がありません。ヨーロッパの富裕層が集まるモナコはF1グランプリで有名ですが、英語が使えて治安も良く、不動産マーケットも発達しているといわれています。建物割合は交渉次第でしょうが、優良な不動産投資対象国としての可能性を持っているかもしれません。
 

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    本連載は、2014年4月25日刊行の書籍『スゴい「減価償却」』から抜粋したものです。その後の税制改正等、最新の内容には対応していない可能性もございますので、あらかじめご了承ください。
    本連載の内容に関しては正確性を期していますが、内容について保証するものではございません。取引等の最終判断に関しては、税理士または税務署に確認するなどして、ご自身の判断でお願いいたします。

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