相続・事業承継 M&A
連載クリニックM&Aを成功に導く「6つのポイント」【第2回】

クリニックM&Aで「患者を逃さない」ための引き継ぎ方法

M&Aクリニック譲渡

クリニックM&Aで「患者を逃さない」ための引き継ぎ方法

前回は、クリニックM&Aを行う「理想のタイミング」について説明しました。今回は、現院長から次期院長へ、切れ目なくバトンタッチする方法を見ていきます。

現院長と次期院長を同じクリニックで働かせる

クリニックM&Aを行う際、周囲の人たちへの配慮として何ができるでしょうか。M&Aの成功例に共通しているのは、現院長から次期院長へ、切れ目なくバトンタッチができていることです。

 

そのためには、M&Aを挟んで前後1年ずつくらい、現院長と次期院長が同じクリニックで働き、情報共有をしながら自然に診療や経営を引き継いでいきます。休診することなく切れ目のない診療を行い、徐々にクリニックの引き継ぎを行うわけです。すると、患者も従業員も違和感なく院長交代の事実を受け入れられるようになります。

 

そして何よりも、患者をつなぎ止めるという意味で非常に大きなポイントとなります。

「切れ目のない診療」をすることで患者を引き止める

実生活の中に置き換えて考えてみましょう。例えば、いつも通っているA店があるとして、その店がリニューアルのためしばらく閉店するとします。オープンまで1週間とか1か月くらいなら、その間は他のB店に行って、オープンしたらまた行こうと考えるでしょう。

 

しかし、A店が閉店したままの状態で半年、1年と続いたとしたらどうでしょうか。次第に、B店に通い慣れてしまい、A店が再開してもまた行こうとは思わないのではないでしょうか。これと同じことがクリニックでも起こり得ます。

 

慢性疾患の患者の場合、月に1回薬を処方してもらうことが多いと思います。通常長くても3か月に1回です。そのため、引き継ぎが決まるまで何か月もクリニックが休診だと、他院にかからざるを得なくなります。一度他院を受診してしまえば、もともと通っていたクリニックが再開されても新しい医師が診療しているクリニックには足が遠のくはずです。

 

しかも、患者さんの病状も1か月以上経てば変わってしまいます。近隣に同じ診療科の医療機関があれば代替が効いてしまうため、あまりクリニックにこだわりがない患者が一定数流れてしまいます。

 

筆者のクライアントの中にも、閉院して1年経ったクリニックを承継開業した医師がいましたが、開業当初の集患には大変苦労をしました。この例ではM&Aにもかかわらず、そのメリットを生かしきれなかったのです。

 

日々、人々の健康を預かるクリニックでは切れ目のない診療をすることがとても大事です。やむを得ず一時的に閉院する場合でも、できるだけ早く再開することです。それがM&Aを成功に導きます。

 

このように譲渡先への移行期間をきちんと持つことを考えると、やはりベスト・タイミングは事前に見極めておかなければならないのです。

本連載は、2015年9月25日刊行の書籍『開業医のためのクリニックM&A 』から抜粋したものです。その後の税制改正等、最新の内容には対応していない可能性もございますので、あらかじめご了承ください。

岡本 雄三

岡本雄三税理士事務所 代表
株式会社MARKコンサルタンツ 代表 

岡本雄三税理士事務所代表。株式会社MARKコンサルタンツ代表。税理士、行政書士、宅地建物取引士、M&Aシニアエキスパート、経済産業省認定経営革新等支援機関。1967年生まれ。1991年、早稲田大学商学部卒業。1998年、岡本雄三税理士事務所開設。2000年、公益社団法人日本医業経営コンサルタント登録。個人医院の開業、医療法人の設立、税務など、医業コンサルティング業務のほか、一般法人の税務、事業承継、M&A支援、資産税にかかわるコンサルティング業務を手掛ける。

著者紹介

連載クリニックM&Aを成功に導く「6つのポイント」

開業医のためのクリニックM&A

開業医のためのクリニックM&A

岡本 雄三

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