ハワイ&アメリカ本土の不動産投資の最新事情とは?

前回は、シンガポールでの遺言の作成方法と、相続税の概要を説明しました。今回は、ハワイ、そしてアメリカ本土の不動産投資事情について見ていきます。

「国籍による差別がない」ことも人気の理由のひとつ

近年のアジアの発展は目を見張るものがあり、それに伴い、アジアへ投資される人もかなり増えているようです。

 

しかし、アメリカへの投資がいまだに根強いのは、法整備がしっかりしていることと、国籍による差別がないことなどが挙げられるでしょう。アジアではその国の国民以外は所有権を購入できないところも多く、地元の人が購入できる金額と海外投資家が買える金額が異なることは結構あります。

 

また、契約書や法律面でもまだ確立されていないこともありますので、投資したはいいが将来売ってお金を持ち帰ることはできるのだろうかという一抹の不安もあるでしょう。

 

その点、税務上の取り扱いに関しては、アメリカ市民権の有無により取り扱いが異なることはありますが、不動産を購入する際、アメリカ人だからこの土地を買えるとか、物件に二重価格が設定されているケースはありません。

 

また、法律面は日本以上にしっかりしていますので、法律に従っていれば、私たち日本人もアメリカ人と同等に不動産投資ができるというのは安心できます。

 

また、特にハワイには日本人の不動産業者や銀行員をはじめ、弁護士、会計士などの専門家もおりますので、日本語だけでも不動産を購入、賃貸、売却しやすい点が人気の理由でしょう。

 

そこで、まずハワイにおける不動産投資の実情に焦点を当てて、その後、アメリカ本土の投資事情について簡単に触れていくことにしましょう。

タイムシェア、コンドミニアムが人気のハワイ不動産

まず、現在、ハワイで不動産を所有する形態として最もよく見られるのは、ヒルトンやマリオットのような有名ホテルの部屋を1週間単位で購入する、タイムシェアでしょう。日本円でいえば数百万円台の価格帯からあり、またクレジットカードでの支払いも可能な上、購入手続きが簡単なことから、人気を集めています。

 

日本人が集まるショッピングセンターや免税店などにも窓口が設けられているので、不動産というよりお買い物の延長線で購入しているような、あまり内容を検討することなく購入している人が多いようです。

 

ただし、最近の相続税調査では、このタイムシェアの申告漏れが指摘されることも多く、また、売却したくても、なかなか売れないことがありますので、注意すべきでしょう。

 

次に人気の不動産は、コンドミニアムといって、日本のマンションに近いものです。自分が使用しないときは、人に賃貸することもできることが人気の秘訣なのでしょう。ただし、賃貸できる最低期間は1カ月、3カ月、6カ月以上などと分かれており、それぞれのコンドミニアムの規定に従う必要があります。

 

また、最近はホテルコンドも注目を集めています。これはホテルの部屋を1室購入するタイプであり、2009年にオープンしたトランプ・インターナショナル・ワイキキ・ビーチ・ウォークや、現在建設中のリッツ・カールトン・レジデンス・ワイキキビーチなどが、ハワイの不動産業界では話題となっています。

 

どちらの物件も日本人所有者がかなりの割合を占めているようで、これも日本人のハワイ不動産投資の人気をうかがわせます。こちらのタイプは1日単位で貸し出しができるので、先ほどのコンドミニアムより賃貸しやすく、ホテルプール(ホテルに管理委託すること)に入れて効率的に運用している方が多いようです。

 

このように、ハワイの不動産投資は純粋な投資というより、自分が好きなときに使用できるという実需も含まれるところに特徴があります。従って、投資利回りとしては3%もいけばいいというのが実情です。

 

なお、商業物件に投資する人もいますが、前述してきたものに比べてまれですし、個人で投資するというより、法人として購入するケースのほうが多いでしょう。

ハワイでの不動産投資なら英語力は必要ないが・・・

一方、アメリカ本土における不動産投資は、西海岸の一部やニューヨーク辺りでは、自分が使用するための豪邸を購入する人もいるでしょうが、これらに比べて割安で、シカゴのあるイリノイ州やラスベガスで有名なネバダ州、コロラド州、オレゴン州などの不動産を購入される人は、純粋な投資目的の人が圧倒的多数でしょう。

 

同じアメリカとはいえ、投資環境についてはハワイとアメリカ本土では別世界といっていいでしょう。

 

ハワイは不動産を購入するのも管理するのも、日本人のエージェントにすべて任せてしまうことが可能です。なかには、投資対象となる商品を日本人向けにパッケージ化して提供している不動産業者もおります。従って、極端なことをいえば英語が全くできなくても不都合はありません。

 

しかし、アメリカ本土にはハワイのように不動産業者だけではなく、専門家も日本語で対応してくれる人はまれで、基本的には英語で行う必要があります。そのため、不動産投資を行うには一定水準の英語の能力が求められることになります。

 

また、投資するのにふさわしい物件を見つけるのも、ハワイのワイキキのように狭い範囲のなかで、日本人が好みそうな物件から選ぶわけではなく、広大な範囲で莫大な情報量からいい物件を捜し当てるのは、以前現地に住んでいたことがあるとか、信頼できる人がいるとか、特別な条件が揃わないと難しいでしょう。

 

なお、税金の観点からいうと、ハワイ州は州税も遺産税もありますが、ネバダ州にはありません。州税があるかどうかにより投資利回りは大きく変わりますし、もちろん相続時にも影響します。日本では社会保険料などは地方自治体によって若干異なりますが、アメリカでは税金そのものが州によって大きく異なる点が特徴でしょう。

本連載は、2014年9月18日刊行の書籍『海外資産の相続』から抜粋したものです。その後の税制改正等、最新の内容には対応していない可能性もございますので、あらかじめご了承ください。

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永峰・三島会計事務所  パートナー

公認会計士・税理士。 東京大学文学部西洋史学科卒業。米国ペンシルヴァニア大学ウォートンスクール卒業(MBA)。等松青木監査法人(現監査法人 トーマツ)、バンカーズ・トラスト銀行(現ドイツ銀行)を経て、現在、永峰・三島会計事務所パートナー。

著者紹介

永峰・三島会計事務所 パートナー

税理士。
中央大学大学院商学研究科修了。BDO三優監査法人税務部門を経て、現在、永峰・三島会計事務所パートナー。

著者紹介

海外資産の相続

海外資産の相続

永峰潤・三島浩光

幻冬舎メディアコンサルティング

金融商品や不動産など、海外資産の相続は、手続きが面倒なため、家族の誰も欲しがらないお荷物になってしまうことが多い。ただでさえ複雑な日本の相続税に、国や地域によって異なる税制が絡んでくるため、その処理にも煩わされ…

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