「モンスター入居者」を穏便に退去させて物件価値を上げる方法

前回は、物件の欠点をアイディア1つで解消することに成功した事例を紹介しました。今回は、収益物件の価値を下げる一大要因である「モンスター入居者」への対処方法を見ていきます。

「契約前」であればオーナーは入居者を選ぶ権利がある

モンスター入居者もまた、収益物件の人気を下げる一大要因です。物件広告などには記載されませんが、購入を検討している買い手が、アパートの住人に聞き込み調査を行えばすぐにわかってしまいます。

 

トラブルを引き起こすモンスター入居者は、同時にクレーマーでもあります。家賃滞納常習者に滞納督促をすると、その3倍くらいクレームを言ってきます。

 

弊社では、ワンルームアパートに外国人が複数名入居して騒音問題を発生させている物件や、ホストが同じく夜遅くまで騒音を出している物件を管理していたことがあります。管理者にとっては悩みの種ですが、モンスター入居者にも人権があるので、簡単に追い出すことはできません。

 

最もよいのは、入居前に相手を見抜いて、いろいろと理由をつけて契約しないことです。一度、契約して住み始めてしまった人を追い出すことは、入居者の居住権があるので難しいのですが、契約前であればオーナーには選ぶ権利があるので、契約しないこともできます。

 

不動産に限った話ではないですが、売買契約は民事の契約なので、気に入らない人には売らないとか、自分の好きな価格でしか売らないということはまったく自由にできます。とはいえ、小売店などが「外国人禁止」などと打ち出したら、外国人差別だとして大変な騒ぎになることでしょう。

 

かなり昔の話ですが、弊社が賃貸仲介している物件に、オウム真理教の信者が入居希望してきたことがありました。

 

もちろん日本には信仰の自由があるので、宗教は自由ですが、地下鉄サリン事件が起きた後だったので、入居させていたら大変な騒ぎになっていたと思います。決して差別をするわけではないのですが、オーナーさんの希望や信頼関係もあるので、誰でもOKというわけにはいかないのです。

 

その方の場合は、オウムだとはもちろん言っていなかったのですが、弊社が事前に面接審査をして、挙動不審だったので丁重にお断りをしました。後で調べたところ、オウム真理教だったことがわかったのです。

 

明日から入居したいとか、物件を見なくていいからすぐに契約したいなどと、普通と違うことを言う方は「ワケあり」のことが多いので注意が必要です。

「法律」をうまく使ってモンスター入居者と交渉する

モンスター入居者のいる物件は、丁重に退去してもらうことで高く売却できました。というわけで、結論は追い出すことです。といっても、脅迫や強引な交渉はNGで、合法的に追い出すことがキモです。

 

まずは弁護士に相談しましょう。法律はうまく使えば家主の味方にもなります。たとえば、家賃滞納者については訴訟や強制執行によって追い出すことができます。

 

また、周辺住民とのトラブルが続いている場合は、本人だって決して快適ではないはずですから、何か月分かの立ち退き費用を手渡すことで、退去してもらうように交渉することができます。

 

きちんと交渉のすえに、穏便に立ち退いてもらっても、モンスター入居者の場合は後になって訴訟などを起こしてくることがあります。ですから、仮に、裁判になっても勝てるように、トラブルや滞納などの記録を逐一記録に残しておくことが肝要です。

リフォームによって「入居者を選べる」物件にする手も

弊社の管理していたいくつかの物件では、モンスター入居者を追い出して、上質な入居者に入れ替えることで、物件を高く売ることが可能になりました。もちろん入れ替え後には、建物の外装もきれいにリフォームして、商品としての見栄えを高く保つことも必要です。

 

モンスター入居者というものは、どこにでもいますが、どちらかといえば賃料の低額な物件にいる確率が多いです。仕事があまりなくてヒマな人ほど、ささいなクレームに情熱を傾けることができるからです。

 

モンスター入居者の特徴の一つに、管理会社への定期的なクレームをあげることができますが、私の経験では、一人暮らしで、なおかつ無職だったり年金生活だったり生活保護を受けていたりして、時間の余っている人が、誰かにかまってほしくて電話をかけてくるケースも多かったです。

 

定職があるからといって安心はできません。接客や感情労働など、ストレスの多いビジネスについている方は、要注意です。ストレスのはけ口として、管理会社にクレームを連発してくる傾向があるからです。

 

そのため、入居審査を仲介会社に任せるだけでなく、貸主自身も人を見抜く目を持つ必要があります。もし誤って入居させてしまったら、退去するまでしのぐか、家賃滞納の際に、積極的に追い出し交渉をするしかないからです。

 

モンスター入居者を追い出した後は、思い切って費用をかけて、入居者を選べるようなリフォームをしましょう。

 

低額物件だからモンスターが入居するリスクが高いのであって、リフォームをして付加価値をつけて高額物件に変更したところ、モンスター入居者がいなくなったという事例をいくつも見たことがあります。

 

所有物件への投資をほとんど行わず、ぼろぼろの状態で放置して、入居者を選べない状態で賃貸経営をしておいて、モンスター入居者が多いといっても、それは自業自得というものです。

本連載は、2016年1月29日刊行の書籍『「ワケあり物件」超高値売却法』から抜粋したものです。その後の税制改正等、最新の内容には対応していない可能性もございますので、あらかじめご了承ください。

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株式会社アズ企画設計 代表取締役

東京都渋谷区に生まれる。実家は渋谷区神宮前で鰻屋を経営。 中央大学を卒業後、複数の不動産会社に勤務し、1993年にアズ企画設計を川口市に設立。 「空室のない元気な街を創る」を経営理念として、賃貸、売買、ビジネスホテルなどのビジネスを幅広く手がける。

著者紹介

「ワケあり物件」超高値売却法

「ワケあり物件」超高値売却法

松本 俊人

幻冬舎メディアコンサルティング

「駅から遠い、築年数が古い、ごみ収集所が近くにある――そんな物件を持つオーナーは、高値売却の方法について頭を悩ませているのではないでしょうか。本書では、どんな「ワケあり物件」であっても優良物件に変える巧みな「演…

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