前回は、共有名義になっている不動産での信託の活用法についてをお伝えしました。今回は、家族信託での信託契約書の記載事項についてみていきます。 ※本連載は、2015年10月に刊行された税理士・鈴木和宏氏の著書、『検討してみよう! 家族信託の基礎知識』(ファーストプレス)の中から一部を抜粋し、スムーズな不動産移転や、残された家族の生活を守る方法についてやさしく解説します。

「信託契約書」の必要事項は全部で7つ

夫:家族信託といってもどんな契約をするのかな?

妻:ひな型があって沢山難しい文章があるはずよ・・・。

夫:生命保険に加入したときと同じ様な、非常に読み辛い約款みたいかな?

妻:きっとそうよ。わかり辛いのではないかな?

夫:そうなると、専門家の人に任せきりになるということかな?

妻:でも、契約の意味をしっかり伝えないといけないよ。

夫:しっかり想いを入れたことを伝えていこうか。

妻:そうね。しっかり私たちの想いを子どもたちに伝えていきましょう。

 

賃貸不動産を所有する親の家族信託の信託契約書を例にします。

信託契約書に必須の事項は、次のようになります。

 

●委託者に関する事項

●受託者に関する事項

●受益者に関する事項

●信託の目的

●信託財産の管理方法

●信託の終了の事由

●その他の信託の条項

 

等です。

 

税務上の諸手続きは、次のようになります。

 

●信託契約書の作成

●有権移転登記・信託登記

●信託の調書の提出(翌月末期限だが自益信託は不要)

●信託契約書の提出(翌年1月末期限)

●所得税の申告・納税(翌年3月15日まで)

「信託契約書」の作成には様々な人の協力が不可欠

契約書そのもののあり方について、信託法においては信託契約や信託行為に記載した事項がまず優先です。原則的には、契約書に記載がない部分については、信託法とともに民法や税法なども含まれます。

 

すべてを記載すると書類が膨大な量になるので、割愛するケースが多いのが現状で、このような点が、契約書がわかりにくくなっているところだと推測されます。

 

契約書案と法律の条文、打ち合わせ資料を確認しながら、時間をかけて作成をしていかなければ、自分が意図しているものと違う契約書になれば意味がありません。家族信託における契約書の作成作業には、〝郷に入っては郷に従う〟ということを念頭に、さまざまな方の協力が必要になると思われます。

検討してみよう!  家族信託の基礎知識

検討してみよう! 家族信託の基礎知識

鈴木 和宏

ファーストプレス

家族信託とは、信頼できる家族・親族や知人などが財産の預かり手(財産管理をする者)となり、「高齢者や障がい者のための安心円滑な財産管理」や「柔軟かつ円滑な資産承継対策」を実現しようとする民事信託の形態です。家族の…

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