信託によって不動産が移転した場合の課税関係とは?

前回は、家族信託についての基本事項をお伝えしました。今回は、信託によって不動産が移転した場合の課税関係を見ていきます。 ※本連載は、2015年10月に刊行された税理士・鈴木和宏氏の著書、『検討してみよう! 家族信託の基礎知識』(ファーストプレス)の中から一部を抜粋し、スムーズな不動産移転や、残された家族の生活を守る方法についてやさしく解説します。

売買には登録免許税・取得税あり、信託なら税額は低い

妻:お父さんが土地を家族信託で、あなたに受託することになるのね?
夫:そうだ。しっかり管理しないと。
妻:ところで、名義があなたに変わるの?
夫:そうだよ。何か心配か?
妻:税金のこと。名義を変える登記の費用がいると思うけど。
夫:そうだな。そこまで考えていなかった。
妻:司法書士さんと税理士さんにも聞いてみるといいわ。
夫:そうする。費用が気になるな。

 

では、不動産が移転した場合の税金関係は、一体どうなるのでしょうか。

 

1.不動産を売買した場合

 

所有権の移転登記が必要となります。この場合、登録免許税や不動産取得税も課税されます。

 

[図表1]不動産を売買した場合のイメージ図

 

2.不動産を信託した場合

 

売買と同様、信託の設定により不動産が信託財産である旨の登記が必要となります。しかし、登録免許税は売買に比較して優遇されています。なお、不動産取得税については、形式的な所有権の移転であることから税金はかかりません。

 

[図表2]不動産を信託した場合のイメージ図

 

[図表3]不動産を信託した場合の流通税(平成29年3月31日まで)

受益権移転は税額が低い、信託終了なら各種登記が必要

3.受益権を移転した場合

 

受益権を売買・贈与・相続等により移転した場合に必要となる登録免許税は不動産1個につき1000円です。なお、不動産を信託した場合と同様、受益権を移転したとしても形式的な所有権の移転であることから税金はかかりません。

 

4.信託が終了した場合

 

信託が終了した場合には信託の終了による不動産移転登記が必要となります。ここで注意してほしいのは、信託の設定時に比較して負担額が大きくなる場合があることです。また、信託の抹消登記も必要となり、この場合の登録免許税は1筆につき1000円で、不動産取得税はかかりません。

鈴木和宏税理士事務所 所長
一般社団法人ほほえみ信託協会 代表理事
税理士 

昭和30年1月14日大阪市東成区生まれ。昭和52年3月京都産業大学経営学部経営学科卒業。昭和52年4月大丸百貨店(現・大丸松坂屋百貨店)の子会社経理部門において、経理全般に従事。昭和54年9月税理士事務所において関与先の記帳指導・監査・決算・税務申告等に従事。
昭和58年12月税理士試験に合格。昭和59年2月税理士登録。
昭和59年8月鈴木和宏税理士事務所開設。現在は税務業務をはじめ、キャシュフローコーチ、経営計画策定支援、保険塾、飲食店成功支援の業務を行っている。
主な著書に、『中小企業のオヤジだけが知っている儲けのカラクリ』(マネジメント社)、『検討してみよう!家族信託の基礎知識』『相続対策の基礎知識 生命保険活用編』『[改訂版]検討してみよう!生前贈与の基礎知識』『生前贈与Q&A』(以上、ファーストプレス)、『まんがで学ぶ相続と遺言』(新日本保険新聞社)、『中小企業経営者のライフプラン~起業から事業承継まで~』(共著、ぎょうせい)など多数。

著者紹介

連載円満な資産運用・相続対策に役立つ「家族信託」の基礎知識

検討してみよう! 家族信託の基礎知識

検討してみよう! 家族信託の基礎知識

鈴木 和宏

ファーストプレス

家族信託とは、信頼できる家族・親族や知人などが財産の預かり手(財産管理をする者)となり、「高齢者や障がい者のための安心円滑な財産管理」や「柔軟かつ円滑な資産承継対策」を実現しようとする民事信託の形態です。家族の財…

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