多額の「広告料」を使っても空室対策にならない理由

賃貸不動産で客付けをすることは、近年、より一層難しくなっています。しかし、「0円賃貸スキーム」なら空室問題の解消に加え、競争力も備えることができます。連載第1回目は、不動産業者に「広告料」を多く支払っても、空室問題が解決されない理由を見ていきます。

「広告料」とは、そもそもどういう手数料なのか?

オーナーが抱える最も悩ましいリスクは空室率の上昇であり、それを解消するためには、

 

①家賃を下げる

②付加価値を高める

③入居時の初期費用を下げる

 

といった3つの対策が必要です。しかし賃貸管理のプロでもない限り、それらの対策の意味と効果を正しく理解し、適切な手を打っていくのは容易ではありません。

 

では、仲介会社や管理会社に対して、どのような空室対策を期待されるでしょう。昔から付き合いのある仲介会社に入居者募集を任せてきたオーナーは、「広告料」を多く支払えば、営業マンが努力して入居を決めてくれると思うはずです。

 

しかし、この広告料とは、そもそもどういう手数料かご存じでしょうか。

 

仲介会社は物件を広く周知するために、賃貸住宅を紹介するポータルサイトなどに広告を出稿しています。こうした広告宣伝費を仲介会社が肩代わりして支払っているという名目のもと、入居者募集の際、仲介会社がオーナーに求めるのが「広告料」ということになります。

 

ただし、宅地建物取引業法46条1項・2項により、「居住用住宅の賃貸に係わる仲介手数料報酬は、賃料の1か月分+消費税を超えてはならない」とされています。つまり、仲介会社は入居者から仲介手数料として家賃の1か月分を徴収する場合、その時点で契約で定められている仲介手数料報酬の上限に達してしまうため、同時にオーナーから仲介報酬を受け取ると宅建業法違反となります。

 

しかし法律によると、オーナーが仲介会社に広告や出張を依頼した場合、仲介会社はその費用をオーナーに別途、請求できるとされています。この法律の解釈をもとに、仲介会社はオーナーに「広告料」を求めるのが、いわば賃貸業界独特の慣習となっているのです。

 

住宅不足の時代は、仲介会社に広告料を多く支払えば営業マンが率先して入居者募集を行い、早く入居が決まっていました。

 

しかし現在、この広告料という唯一の手持ち札の効力が低下してきています。広告料は家賃1~2か月分が一般的ですが、これを3か月分支払ったからといって、必ずしも空室が早く埋まるわけではないからです。

「決め物件」となるために付加価値を高める必要がある

その理由を説明するため、オーナーの物件がどのように入居者に選ばれ、契約に至っているのかを見ていきましょう。

 

仲介店舗に入居希望者が来店した際、営業マンはお客様の希望を確認し、それに見合った物件をいくつか案内していきます。内見した入居希望者は、その中から自分の希望に合った部屋が見つかった場合、入居の契約をすることになります。

 

紹介できる物件が山のようにある大空室時代の現在、入居希望者にどのような物件を紹介するのかは営業マン次第です。入居希望者が「この部屋を紹介してください」と指名するケースを除き、基本的には営業マンの推薦と営業力によって入居が決まります。

 

オーナーにとっては、営業マンが顧客に案内する物件の一つに自分の物件が入ると、入居が決まりやすくなると思われるでしょう。しかし実際にはそうとも限りません。入居希望者に部屋を案内する現場では、とくに優秀な営業マンは「どの物件に決めてもらうのか」というストーリーを描いた上で内見を行っているからです。

 

たとえばA・B・Cの三つの物件を紹介する場合、優秀な営業マンは最終的にAに決めてもらうことを前提にしながら、その比較対象としてBとCを紹介していきます。Aがより魅力的に見えるよう、条件が少し劣ったBとCを先に案内していくのが鉄則です。この場合、Aが「決め物件」、BとCが「当て馬物件」となります。

 

「自分の物件に案内はあるのになかなか決まらない」と悩まれているオーナーも多いでしょう。その場合、自分の物件が「当て馬」にされている可能性があります。営業マンは他に「決め物件」を持っているわけですから、いくら自分の物件が案内されたとしても決まることはほとんどありません。

 

仲介会社の営業マンの給料は歩合給(インセンティブ)の割合が多く、その歩合給を上げるためには売上を増やす必要があります。営業マンにとって広告料は売上を伸ばす重要な収入源ですから、広告料を少し多めに支払えば自分の物件をお客様(入居希望者)に案内、お勧めしてもらえる確率は高まります。

 

ちなみに「決め物件」とは、お客様が確実に入るであろう物件、そのお客様にとって魅力的に映るだろう、と営業マンが判断する物件です。広告料をいくら多く積んだからといって、自分の物件が必ず「決め物件」になるわけではないことは注意したいところです。「決め物件」になるためにオーナーがやらなければいけないのは、「広告料」を多く支払うことではなく、物件価値を高めるさまざまな経営努力です。

 

空室問題が表面化してきた現在、この広告料は入居者獲得の必要コストとなってきました。オーナーも広告料を支払うのが当然と考えていると思います。他に頼る手段がないからこそ、広告料の効力の低下はオーナーにとって由々しき問題です。

 

しかし残念ながら、広告料のみに過度に頼る時代はもう終わりを迎えようとしているのです。理由は、仲介会社の存在意義と関係しています。

 

この話は次回に続きます。

本連載は、2015年12月10日刊行の書籍『入居希望者が殺到する驚異の0円賃貸スキーム』から抜粋したものです。その後の税制改正等、最新の内容には対応していない可能性もございますので、あらかじめご了承ください。

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連載圧倒的競争力で満室経営を実現する「0円賃貸スキーム」とは?

株式会社ツインライフ 専務取締役

1977年大阪市生まれ。12年間、大手デベロッパー・ハウスメーカーの最前線で商業ビルの開発や分譲マンションオーナーの経営コンサルティングに従事。後、そのノウハウを賃貸マンション管理業界に持ち込み「0円賃貸スキーム」を開発する。それまでに磨き上げてきたプロパティマネジメントと融合させ、独自の賃貸物件管理手法を構築。所有と経営を分離化する経営代行管理システムで、賃貸物件の収益力を改善。収益力の低い物件を持つ悩めるオーナーたちから相談を受け、多くの不動産物件の収益改善を実現しながら「0円賃貸」を使った集客力の高い新たなスキームを業界に打ち出している。自身も賃貸物件を複数所有しており、「キャッシュフローを最大化する」満室経営を実践している。

著者紹介

入居希望者が殺到する 驚異の0円賃貸スキーム

入居希望者が殺到する 驚異の0円賃貸スキーム

池田 建学

幻冬舎メディアコンサルティング

大家が抱える最も悩ましいリスクは空室だが、これまで賃貸不動産で客付けをしようと思えば、「家賃を下げる」「リノベーションなどをして付加価値をつける」「広告料を仲介会社に多く払う」方法しかありませんでした。 にもか…

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