生命保険を活用して相続トラブルを回避する方法

前回は、相続財産の一部に不良資産が含まれている相続時の問題点について説明しました。今回は、その具体的な解決策について見ていきます。

財産を渡せない代わりに生命保険を利用すれば・・・

前回は、相続財産の一部に不良資産を含む相続時の問題点をあげました。今回は、その解決策について見ていきます。

 

●解決策 生命保険を契約し、保険金受取人を次女にする

争いを予防するために次女へ残す財産について考えることにしました。函館の土地は売却できても大した価値にならないことはわかっており、また、自宅の土地は今後の居住地の確保のためにも長女に相続させたいという希望があったので、それ以外で何かを用意しておく必要がありました。


そこで、提案したのが生命保険の利用です。自宅や現金などの財産を渡せない代わりに、生命保険金を次女に残して納得してもらおうということです。生命保険なら、月支払いにできるので一気に大きな額が必要ありませんし、1000万円を残したいならあらかじめ1000万円の死亡保険金が手に入る保険を契約しておけば、その金額が間違いなく次女の手元に残るようにできます。


相続では生命保険金に非課税枠があるということで、節税対策としてよく利用されるのですが、死亡保険金としてある程度の金額を残したいというときにも利用することができます。例えば、月々1万円の支払いを30年間続けたとすると、360万円を保険料として支払うことになりますが、亡くなった時に1000万円が遺族の手元に残るとなれば、360万円を使っただけで1000万円を残せたことになるのです。このように少ない保険料負担で高額な保険金を得ることをレバレッジ効果と呼びます。


Lさんの場合にも財産が限られていましたから、このレバレッジ効果を活用することにしました。これなら月々の保険料の支払いだけ何とか工面できれば、次女に納得してもらえるだけの財産を残せるのです。Lさんは62歳とはいえ、目立った病歴もなく持病もなかったことから、終身保険を契約することができて、月々の支払いもそれほど高くない金額が設定できました。

生活がかかると仲の良い家族にも亀裂が入る

次女へ残す財産の目処が立ってから、遺言書を作成するためにも一度次女の元へ出向き、相続対策について一連の話をしました。次女は生命保険金をもらえるという話を聞くと、胸を撫で下ろしていました。なぜなら、旦那さんから、もし相続が起こったら貰える分は絶対に貰うようにしてくれと頼まれていたからです。


旦那さんの会社は近々倒産するということもあって、経済的に2人ともかなり追い込まれていたようです。もし今のような生活が続いていて、相続で財産がもらえないということになったら、母をさらってでも何とかお金を手配してもらおうと考えていたということでした。長女にとても可愛がってもらっていて申し訳ない気持ちもあったようですが、生活がかかっているということで背に腹は変えられない状態だったのでしょう。


そんな次女についての事情をLさんや長女に説明したところ、そんなに困っているのは知らなかったそうで、かえって申し訳ないことをしたと反省していました。その後、もし生活費が厳しい状態なら相続など関係なく相談してほしいと長女から次女へと連絡を取ることになり、次女は涙ながらに家族の温かさに感謝して、今後の生活について相談できるようになったようです。

本連載は、2015年12月10日刊行の書籍『税理士が教えてくれない不動産オーナーの相続対策』から抜粋したものです。その後の税制改正等、最新の内容には対応していない可能性もございますので、あらかじめご了承ください。

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1993年創業。貸地・借地・有効利用などの不動産に絡む相続対策に強みをもつ専門家集団。神奈川県川崎市に本拠地を構え、北海道から九州まで全国47拠点の相談センターを展開する。税理士、弁護士、司法書士、測量士などの専門家集団によるチームコンサルタ ントで、相続にまつわる問題をワンストップで解決。税金対策にとどまらない不動産の特性を考慮した対策で、様々な不動産に関わる問題を解決に導く。人間ドックと同じように財産も年に一度は健康診断が必要とのコンセプトから、地域の人たちの財産を守るための アドバイスを行っている。(写真は取締役の加藤豊氏)

著者紹介

税理士が教えてくれない不動産オーナーの相続対策

税理士が教えてくれない不動産オーナーの相続対策

株式会社財産ドック

幻冬舎メディアコンサルティング

今、相続税対策が活況を呈しています。平成27年の相続税改正によって相続税が増税され、多くの人が相続税対策に注目し、相続問題を税理士や弁護士などに相談することは、今や常識にもなっています。 しかし、土地や建物などの…

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