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連載成功する「クリニック 開業」のノウハウ【第7回】

物件選びで留意したい「広告・宣伝の制限」のリスクとは?

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物件選びで留意したい「広告・宣伝の制限」のリスクとは?

今回は、「物件選び」の際に押さえておきたい広告・宣伝の規制リスクと「定期借家契約」に関するの注意点についてお話しします。

地域やビルによっては広告・宣伝に「制限」がある

テナントに関しては、市町村の条例やビル独自のルールなどによって、広告・宣伝に制限が課されている場合があることも、リスクのひとつとして意識しておきましょう。

 

たとえば、横浜市では、条例で一定の規模以上のビルを対象として、雑居ビル等でよく見かける「○○クリニック」というような袖看板やカッティングシートを使った広告を出すことを禁じています。よって、この規制の対象となっている横浜クイーンズタワーや横浜ランドマークタワー等では、クリニックの袖看板を取り付けることやカッティングシートをガラス面で使用することができません。

 

また、デザイナーズビルでは、外観へのこだわりからビルオーナーが看板等を禁止していることもよく見受けられます。

 

このような“看板掲載不可”のテナントで開業する場合、初めて訪れる患者の中には、「目印がないためにどうして行ったらいいのかわからない」という人も出てくるでしょう。また「そこにクリニックがあること自体を長い間、気付かなかった」というケースも考えられます。患者にとっての利便性や視認性という点では明らかにマイナスであり、集患に悪影響を及ぼすことになります。

 

開業した後に「まさか、看板を出せないなんて」と慌てることがないよう、テナントを借りる際には必ず、広告・宣伝に関する制限がないかを忘れずにチェックするようにしましょう。

10年たったら退去?「定期借家契約」にも注意

テナントについてはさらに、賃貸借契約の形態が定期借家契約となっている物件についても注意を要します。定期借家契約の場合において、賃貸借契約期間が10年以下に設定されていることも少なくありません。このようなテナントを安易に借りてしまうと、後々、大変なことになる可能性があります。

 

まず、クリニックの場合、おしなべて開業時には、内装工事や看板、医療器械の設置等の設備関係に巨額の資金を投入しているはずです。にもかかわらず、10 年以下の契約期間の場合において、その期間が経過したら契約満了となり、テナントを短期間で退去せざるを得ないとすると、これら設備資金においては法定耐用年数に満たないため、減価償却も全期間できないまま、大きなロスが発生することになります。

 

また、将来的にクリニックの医療法人化を予定している場合には、それが困難になるケースもあります。医療法人として認可される条件のひとつとして、「長期間にわたり賃貸借契約を継続することの保証(神奈川県)」「契約が長期間にわたるものであることが必要(東京都)」という行政サイドからの要請があるからです(ちなみに、神奈川県庁が医療法人を認可する際には、「不動産賃貸借契約引継承認書」という所定の様式の覚書に賃貸人の印鑑をもらうことが条件となっています)。

 

賃貸借契約期間が定期借家契約の10年である場合、この条件に抵触するケースがあります。例えば、テナントを借りてから3年後に医療法人化を申請しても、定期借家契約の場合には7年後には当該契約が終了してしまうため、「長期間(おおむね10年間とされています)にわたり賃貸借契約を継続することの保証」という要件を満たせないのです。

 

このようなリスクを避けるためにも、テナント契約が定期借家契約となっている場合には、契約期間が最低でも15年以上となるように当初から賃貸人と交渉の上、契約を取り交わすことをお勧めします。

 

なお、定期借家契約においては、借主の一方的な都合で中途解約をする場合には、残存期間の賃料全額を支払う必要がありますので、契約期間を長期にすることで、患者が集まらず契約期間内にやむを得ず廃院する場合や、ある程度高齢になってから開業する場合にはリスクが生じることにご注意ください。

本連載は、2016年4月刊行の書籍『改訂版 クリニック開業読本』から抜粋したものです。その後の税制改正等、最新の内容には対応していない可能性もございますので、あらかじめご了承ください。

髙田 一毅

みなとみらい税理士法人 髙田会計事務所 所長 税理士

1965年生まれ。兵庫県出身。
1984年栄光学園高等学校卒業。
1988年上智大学文学部新聞学科卒業。
2002年税理士登録。
2003年神奈川県鎌倉市に髙田会計事務所を開業。
2011年税理士法人化をして神奈川県横浜市西区へ移転。みなとみらい税理士法人髙田会計事務所(東京地方税理士会横浜中央支部所属)となり現在に至る。2016年4月現在、スタッフ総数63名、顧問先総数837件の医科歯科に特化した会計事務所の所長を務め、これまでのクリニック開院サポート実績は600件を超える。

著者紹介

連載成功する「クリニック 開業」のノウハウ

改訂版 クリニック開業読本

改訂版 クリニック開業読本

髙田 一毅

幻冬舎メディアコンサルティング

2000年から2015年の医療機関の倒産件数は527件。経営破綻した医科・歯科クリニックの8割は破産を選択せざる得なく、再起も難しい状況です。このような厳しい状況の中でも集患に成功しているクリニックが存在するのはなぜでしょ…

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