その他 ドクター向け
連載成功する「クリニック 開業」のノウハウ【第3回】

昼間人口と夜間人口――開業場所はどちらを重視するべきか?

テナントクリニックドクター

昼間人口と夜間人口――開業場所はどちらを重視するべきか?

開業場所をどこにするべきかという問題は非常に重要であり、選択を誤ると早いうちに閉院のおそれもあります。今回は2つ目のポイント、「物件探し」について見ていきます。

科目によっても開業に適した地域は異なる

「クリニックの開業場所をどこにするべきか」という点は、集患に直接的にかかわる最も大きな問題のひとつであることから、とりわけ多くの注意点があります。まずはじめの重要なポイントとして、昼間人口と夜間人口の差を意識しておかなければなりません。

 

例えば、オフィス街は、昼間はサラリーマンやOL等であふれかえりますが、夜間は人気がなくなります。そのような場所のビルテナントで開業するのであれば、患者として想定できるのは、昼間人口だけということになるでしょう。

 

そこで考慮すべき点としては、通勤するサラリーマンやOLが病気やケガで通院するにあたっての患者としての心理です。頭痛や風邪程度の症状の軽い病気であれば、「オフィスビルの1階にクリニックがあるから、帰りにそこで診察してもらおうか」という気持ちになるでしょう。また定期健診なども同じ心理がはたらくでしょう。

 

しかしながら、リウマチや不妊治療などのように長期間の治療が必要となるような病気については、「休みを取って、地元のクリニックでじっくりと診てもらおう」となるのがおそらくごく自然な心理でしょう。

 

このように、東京の丸の内や八重洲に代表されるオフィス街のような昼間人口にウエイトがある場所では、リウマチ科や不妊治療をメインとする婦人科のような科目は、例外はあるとしても、やはり集患が期待できません。逆に言えば、このような性質を有する診療科目においては、むしろ夜間人口の多い場所を開業地に選択することが望ましいでしょう。

自分のライフスタイルから場所を選ぶ方法もあり

一方、こうした一般論に固執せず、ドクター自身がそのライフスタイルを重視することで、意識的に昼間人口だけに的を絞って開業をするという選択肢も考えられます。

 

筆者のクライアントのドクターに、奥様が外資系金融会社で働いている方がいらっしゃいます。そのため、日中はお互いに多忙であり夫婦のコミュニケーションがなかなかとれないので、せめて夕食は一緒に食べて、土日祝も一緒に過ごしたいということで、あえてオフィス街で開業されました(オフィス街のクリニックは総じて、土日祝は休診であり、かつ夕方6時以降は診療しないことが多いのです)。

 

また、オフィスビルで開業している別のドクターは、毎朝7時半から開院して早朝診療をしているので、通勤前に診療してもらいたいという患者に大変好評を得ています。勤務時間が朝早くからなのでスタッフの早朝割増手当は発生しますが、それを十分にカバーできるだけの来院患者数を確保できているのです。

 

夜間人口が少ない場所でも、こうしたケースが示唆するように、工夫次第では患者の潜在的なニーズを取り込んで確実に集患することが可能となるのです。そのような可能性も念頭におきつつ、開業場所を選ぶ際には、昼間人口と夜間人口のどちらを重視するのかを、じっくりと検討することが大切となります。

本連載は、2016年4月刊行の書籍『改訂版 クリニック開業読本』から抜粋したものです。その後の税制改正等、最新の内容には対応していない可能性もございますので、あらかじめご了承ください。

髙田 一毅

みなとみらい税理士法人 髙田会計事務所 所長 税理士

1965年生まれ。兵庫県出身。
1984年栄光学園高等学校卒業。
1988年上智大学文学部新聞学科卒業。
2002年税理士登録。
2003年神奈川県鎌倉市に髙田会計事務所を開業。
2011年税理士法人化をして神奈川県横浜市西区へ移転。みなとみらい税理士法人髙田会計事務所(東京地方税理士会横浜中央支部所属)となり現在に至る。2016年4月現在、スタッフ総数63名、顧問先総数837件の医科歯科に特化した会計事務所の所長を務め、これまでのクリニック開院サポート実績は600件を超える。

著者紹介

連載成功する「クリニック 開業」のノウハウ

改訂版 クリニック開業読本

改訂版 クリニック開業読本

髙田 一毅

幻冬舎メディアコンサルティング

2000年から2015年の医療機関の倒産件数は527件。経営破綻した医科・歯科クリニックの8割は破産を選択せざる得なく、再起も難しい状況です。このような厳しい状況の中でも集患に成功しているクリニックが存在するのはなぜでしょ…

Special Feature

2016.12

「法人保険」活用バイブル<書籍刊行>

決算対策、相続・事業承継、財産移転・・・企業とオーナー社長のさまざまな課題解決に、絶大な効果を発揮する「法人保険」の活用…

GGO編集部(保険取材班)

[連載]オーナー社長のための「法人保険」活用バイブル~決算対策編

【第19回】保険のための医的診査 結果が「少し悪い」ほうが社長が喜ぶ理由

GTAC(吉永 秀史)

[連載]法人保険を活用した資産移転の節税スキーム

【第15回】「逆ハーフタックスプラン」活用時の留意点

Seminar information

不動産活用セミナーのご案内

償却メリットを狙った「京都の町家」投資の魅力

~建物比率5割超&4年で減価償却も可能!独自の不動産マーケットを形成する京町家だから実現する投資法

日時 2016年12月10日(土)
講師 平野準

海外不動産セミナーのご案内

償却メリットにフォーカスした「ハワイ不動産」投資の最新事情

~築古木造のタウンハウスで建物比率80%以上。「ハワイの償却物件」の実際と活用法

日時 2016年12月10日(土)
講師 大橋 登

海外活用セミナーのご案内

国際金融都市「香港」で始めるグローバル資産防衛

~本格的な海外投資環境を整えるメリットと現地の最新金融事情

日時 2016年12月10日(土)
講師 長谷川建一

The Latest