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連載法人による「太陽光ファンド」活用の最新事情【第5回】

太陽光発電事業への逆風となった「FIT」の改正とは?

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太陽光発電事業への逆風となった「FIT」の改正とは?

再生可能エネルギーの固定価格買取制度「FIT」の改正により、急速に拡大した太陽光発電市場には逆風が吹いています。今回は、太陽光発電市場を巡る、昨今の市場動向について見ていきます。

短期間での急拡大が電力の需給バランスを崩す原因に

本連載の第1回でご説明した通り、2012年7月より開始された「再生可能エネルギーの固定価格買取制度(FIT)」により、太陽光発電の国内市場は急速に拡大しました。下記のグラフは資源エネルギー庁から出典されている「再生可能エネルギーの効率的な導入について」の資料です。このグラフによると、FIT導入から2014年度末時点で年平均33%の伸びが見られます。

 

資源エネルギー庁「再生可能エネルギーの効率的な導入について」2015年10月
資源エネルギー庁「再生可能エネルギーの効率的な導入について」2015年10月


このように、太陽光発電市場は短期間で急拡大を遂げることができましたが、一方で九州電力のように太陽光発電事業者の接続申し込みが殺到し、全ての事業者を受け入れるとなると、その地域の電力の需給バランスが崩れてしまうといった問題も起こっております。

 

そこで、九州電力は接続申込者への受け入れ回答を一時ストップしました。これが2014年10月に起こった「九電ショック」というものです。その流れを受け、他の電力会社6社も電力の受給バランスの問題から指定電気事業者に指定されました。

FITの改正により出力抑制できる電力が拡大

下記の図は、太陽光発電市場を巡る昨今の動向まとめたものです。

 

 

九電ショック等を受け、2015年1月、経済産業省はFITの改正に動きだしました。主に変わったのが出力抑制のルール変更と、FIT価格の決定時期の変更です。出力抑制とは、「電力会社側の都合で事業者側で発電された電気の買い取りを一時ストップできる」というものです。

 

なぜ、買い取りをストップする必要があるかというと、前述の通り、電気には受給のバランスがあり、消費量よりも発電量が多いと受給バランスが崩れ、停電の原因になってしまうからです。

 

FIT改正前までは、基本的に500kWを超える設備に対しては、年間30日まで電力会社が出力抑制をかけることが可能でした。これが30日ルールと言われているものです。2015年1月に改正されたFIT制度のもとでは、これが360時間ルール、つまり年間360時間まで電力会社が出力抑制をかけられるようになりました。

 

一見、24時間×30日=720時間である30日ルールの方が、事業者側にとって厳しいようにも見えますが、太陽光発電は、夜の時間は全くと言っていいほど発電しません。よって、360時間ルールのように、時間単位で細かく調整できる方が、昼の時間帯に集中して抑制をかけることができ、より効率的に電気量の抑制が可能になります。

 

また、FIT改正前まではFIT価格の決定時期が接続申込時であったのに対し、改正後は接続契約時に変更になりました。価格の決定時期が接続申込時であった当初は、事業計画が立てやすいというメリットがあったのですが、高い売電価格で権利を取得したものの資金調達等の関係で進まないものも多くあるため、そのようなものについてはきちんと事業の確立の目途が立った時点で価格を決定するというように改正されました。

 

下記の経済産業省のグラフを見ても、認定量に対し、きちんと導入されたと言えるものはおよそ20%にすぎません。

 

出典:経済産業省ニュースリリース
出典:経済産業省ニュースリリース

即時償却による税メリットも2016年3月で終了に

FITの改正に加えて、即時償却制度の終了も太陽光発電市場に逆風が吹いていると言われているゆえんです。「グリーン投資減税」の代替案として活用されてきた「生産性向上設備投資促進税制」の即時償却もの2016年3月で終了となります。

 

売電収益を目的として太陽光発電市場に参入した事業者がいる一方で、税メリットを目的に参入した事業者も多くいると思われます。即時償却制度の終了により、どの程度の新規参入者が減るか、具体的な数字等については見当がつきませんが、一方で税メリット目的の参入者が減る分、マーケット価格は下がり、悪質なブローカー等は淘汰されていくだろうとも言われております。

 

各制度の改正や終了にともない、短期間で急拡大した太陽光発電市場は転換期にあると言えます。

階戸 雅博

SBIマネープラザ株式会社 常務取締役 総合企画部長

1995年、三和銀行(現・三菱東京UFJ銀行)入行。主に通信業界を中心とした上場企業を担当。1998年、通商産業省(現・経済産業省)出向。エネルギーやインフラに対するODA(政府開発援助)業務に携わる。2005年、イー・トレード証券(現・SBI証券)へ転職。執行役員経営企画部長としてインターネット証券の対面チャネルとの融合を模索。2012年からはSBIマネープラザの取締役として、証券・保険・住宅ローンなどのあらゆる金融商品をワンストップで提供する対面チャネルの確立を目指している。現在、同社常務取締役として経営企画部門のほか、新規事業であるファンド関連事業部門の育成に注力。

著者紹介

連載法人による「太陽光ファンド」活用の最新事情

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