無視され続けた「中立機関の提言」

2009年以来、スリランカのNorochcholai発電所は石炭の調達に競争入札を導入していますが、入札は度々中止され、代わりにNoble社が独占的に供給をしてきました。スリランカでの石炭を巡る疑惑と争いをお伝えしている連載の第2回です。

不可解な石炭供給業者との契約

石炭供給を絶やさないことの重要性を考えると、石炭供給の入札処理が遅れるたびに、現供給者との契約を更新することが必須となる。このことにあやかってNoble Resources社は、2010年から2015年までの間に、合わせて440万トンの供給権を落札し契約を結んでいる。その6年の間で、セイロン電力庁はNorochcholai Lakvijaya発電所向けの石炭に約5億米ドルもかけているのだ。

 

2015年1月の政権交代後、燃料動力省長官にSuren Batagoda氏が就任し、この厄介な石炭入札問題を引き継いだ。「入札監理委員会の決定は一度も守られたことはありませんでした」とBatagoda長官は話す。「このような状況がどういうわけか、ここ5年間の5つの入札すべてで起きていたのです。後に新聞はそのことを取り上げました。しかし入札自体が中止されると、誰も話題にしなくなったのでした。」

 

Noble Resources社が初めて落札者となった2010年の時点ですら、同社は審査委員会と入札監理委員会に第一候補として推薦されていなかった。更に、Noble Resources社が後に供給を怠り、あるいは契約違反をしても、大統領による提言を受けてNorochcholai Lakvijaya発電所に対する継続的な石炭供給が許可され続けたのだ。

世界標準よりも割高なNoble社の石炭価格

2010年から2012年、そして2015年の政権交代以降にも在任していた前の燃料動力大臣であるChampika Ranawaka氏は、ランカ石炭会社が2012年より正式な入札手続きを踏まずに石炭を輸入していること、そして、動力産業には長らくマフィアや組織的な犯罪集団が巣食っていると主張した。

 

新政府はこの問題を追及するのだろうか。そしてより安い供給元ではなく、Noble Resources社との契約を更新し続けたことで、スリランカは無駄な支払いを強いられてきたのだろうか。

 

Norochcholai Lakvijaya発電所で使用された石炭1トンの平均価格は、過去5年分を見ると、最高価格は2010年度の143ドルで、最低価格は2014年度の90ドルである。

 

一方、世界的な石炭価格の指標であるニューカッスル・インデックスでは、2010年後半だと90ドル前半であり、現在は40ドル半ばになっている。出荷にかかる費用や保険料などの追加コストを考慮に入れたとしても、Norochcholai Lakvijaya発電所で使用されている石炭の平均価格は世界水準と比べても著しく割高である。

 

ランカ石炭会社が正式な入札手続きを遵守しなかったことについて調査し起訴するかBatagoda氏に尋ねたところ、記録文書が残っていないため難しいだろうと答えた。

次回は、Noble Resources社がどうして石炭の供給契約を独占し続けてこられたかを、2010年の第1回の入札から振り返ってみていきます。

この連載は、GTACが提携するスリランカのメディア「ECHELON」が2015年10月に掲載した記事「Sri Lanka’s Coal War」を、翻訳・編集したものです。

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連載スリランカの石炭供給を巡る疑惑と争い

『ECHELON(エシュロン)』は、スリランカの三大ビジネス誌のひとつ。著名な経営者・ビジネスパーソンのインタビュー記事から、同国の金融・経済・投資・不動産などの最新事情、ラグジュアリーなアイテムやライフスタイル等の記事を幅広く掲載。経営者層やハイクラスなビジネスパーソンなど、同国の物的・知的富裕層を多数読者に抱える。(写真はチェアマンのChanna De Silva氏)

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