発電所への石炭供給権を巡る「疑惑」とは?

スリランカの電力供給は比較的にコストの安い石炭発電に頼っています。そのため多くの石炭を輸入していますが、そのプロセスには数々の問題があることが明らかになっています。スリランカでの石炭を巡る疑惑と争いを全10回にわたってお伝えします。

受け入れられてこなかった委員会の勧告

ランカ石炭会社とセイロン電力庁(CEB)がスリランカのプッタラム県のNorochcholai Lakvijaya発電所に石炭を供給するため、2009年に初めて入札を募ったことを機にして、スリランカの石炭輸入は何百万ドルという規模に拡大した。香港に拠点を置く原料供給会社であるNoble Resources社は、同発電所に向けた最初の供給分にあたる2,200万トン分を落札したのだが、1トン当たりの提示価格から、落札額は1億5,000万ドル以上にのぼったよ推察される。

 

その後、入札は幾度も募られ、審査委員会や入札監理委員会が他社を推薦したにもかかわらず、Noble Resources社は前政権が終わるまでの間ずっと、Norochcholai Lakvijaya発電所への石炭供給権を独占し続けた。

 

これら委員会による他社の推薦は、政府調達の決定を最終承認する裁定委員会あるいは内閣によって必ず否決された。そして、落札者を決定するための最終勧告を行う立場である経済大臣に代わって、Mahinda Rajapakse大統領は委員会の勧告をあからさまに無視し、Noble Resources社との契約延長を提言してきた。

経済コストが高くつく石炭の供給停止

2010年から2015年の間、セイロン電力庁はNorochcholai Lakvijaya発電所向けの石炭に、およそ5億米ドルにあたる640億スリランカ・ルピーを費やした。その当時、Noble Resources社の現地代理人はRavi Wijeratne氏だった。Wijeratne氏は、コロンボにあるStardust CasinoとMarina Casinoのオーナーで、また計画が断念されたCrown Casinoの共同経営者になる予定でもあった。

セイロン電力庁は、石炭供給業者が決まらない間は、石炭火力発電所を稼動することができない。そして、その間は電力供給を絶やさないために、よりコストが高いディーゼル発電所から電力を購入する必要がある。そのためセイロン電力庁は大きな損失を避けるためにも、石炭供給業者の素早い決定が求められる。

 

2013年、セイロン電力庁が石油火力発電所にかけた平均費用は、石炭火力発電所のそれと比較し3倍弱かかった。入札が再度中止となった2014年9月、政府高官はメディアに対し、セイロン電力庁は、石炭のストックが残り僅か1ヶ月分しかなく、石炭を節約するためにNorochcholai Lakvijaya発電所を定期的に停止することで、大きな損失を蒙っていると話した。2014年のスリランカにおける電力供給のうち、25%が石炭発電によるものだった。

次回は、入札審査の中立的機関が機能せず、高い石炭価格を支払わされ続けている現状についてご説明します。

この連載は、GTACが提携するスリランカのメディア「ECHELON」が2015年10月に掲載した記事「Sri Lanka’s Coal War」を、翻訳・編集したものです。

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連載スリランカの石炭供給を巡る疑惑と争い

『ECHELON(エシュロン)』は、スリランカの三大ビジネス誌のひとつ。著名な経営者・ビジネスパーソンのインタビュー記事から、同国の金融・経済・投資・不動産などの最新事情、ラグジュアリーなアイテムやライフスタイル等の記事を幅広く掲載。経営者層やハイクラスなビジネスパーソンなど、同国の物的・知的富裕層を多数読者に抱える。(写真はチェアマンのChanna De Silva氏)

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