自筆証書遺言と公正証書遺言——どちらを選ぶべきか?

遺言書の方式には広く自筆証書遺言と公正証書遺言の2つがあります。今回は、この2つのメリット・デメリットについて見ていきます。

紛失や隠匿、破棄などの恐れがある「自筆証書遺言」

遺言書の方式としては、自筆証書遺言と公正証書遺言という2つのタイプが広く利用されています。そこで、どちらの方式を選ぶのかも重要な問題となります。


まず、自筆証書遺言には様々なデメリットがあります。ことに、紛失や隠匿、破棄などの恐れがあることは非常に大きな懸念材料といえるでしょう。一方、公正証書遺言については原本が公証役場に保管されているので、そうした事態を避けることが可能です。万が一、紛失したような場合でも、すぐに遺言書の謄本を発行してもらえます。

 
公正証書遺言には、紛失、改ざんの恐れがほとんどないことの他に、自筆証書遺言と比べて手続きのうえでも「安全」「確実」であること、長年にわたり裁判官や検察官として法律実務に携わってきた法律の専門家である公証人が作成するので法的不備の恐れがない、家庭裁判所での検認手続きが不要であるなどのメリットがあります。なお、公正証書遺言の内容の一部を、後日自筆で修正するのも有効な手段です。

デジタル化が進み安全性が高まる「公正証書遺言」

公正証書遺言の保管については、最近では一歩進んでデジタル化の取り組みも行われています。日本公証人連合会(東京)は2014年4月から、公正証書遺言の原本を電子データ化し、原本とは別管理する二重保管制度を実施する予定です。


こうした試みを行う大きなきっかけとなったのは、2011年3月11日に起きた東日本大震災でした。2013年10月31日付朝日新聞では、「遺言も防災」という見出しのもと、公正証書遺言のデジタル化に関して興味深い記事を掲載しています。


被災地にある各地の公証役場には震災後、「遺言の証書が津波に流された」との相談が相次ぎましたが、幸い原本が流出した役場はなく、再発行で対応できたということです。デジタル化された公正証書遺言のデータは西日本の山間部に保管することが予定されています。これにより、公正証書遺言の安全性はさらに高まっていくことになるでしょう。

本連載は、2014年3月20日刊行の書籍『相続争いは遺言書で防ぎなさい』から抜粋したものです。その後の税制改正等、最新の内容には対応していない可能性もございますので、あらかじめご了承ください。

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連載相続争いを防ぐための「遺言書」のつくり方

大坪正典税理士事務所 所長 税理士

神奈川県横浜市出身。相続、事業承継、都市開発、企業再生支援業務などを中心に携わる。他士業とのコラボレーションによるワンストップサービスを提供。著書に『もめない相続ABC』(共著、日本相続新聞社)、『はじめての相続・贈与』(共著、明日香出版社)などがある。

著者紹介

相続争いは遺言書で防ぎなさい

相続争いは遺言書で防ぎなさい

大坪 正典

幻冬舎メディアコンサルティング

相続をきっかけに家族がバラバラになり、互いに憎しみ合い、ののしり合う――。 故人が遺言書を用意していない、あるいはその内容が不十分であったために、相続に関するトラブルが起こってしまうケースは数多く存在しています…

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