入居者が立ち退かないアパートを「高値」で売る方法

前回は、相続した土地の価値を大幅にプラスにする方法を説明しました。今回は、賃借人を立ち退かないアパートを高値で売るための方法を見ていきます。

アパートを売却したいのに入居者が立ち退かない!?

<事例6>

被相続人が死亡し、その相続人は、一人息子のみという状況です。

 

相続財産の一つにはアパートがあり、立ち退きを条件として第三者に2億円で売却することで売買契約を結んだのですが、住人の一人が一向に立ち退きに応じようとしません。それどころか、法外な立ち退き料を請求してきたのです。そこで、困った相続人は早急に売買代金の決済をしたいため、アパートの住人を立ち退かせるよう弁護士に相談したのです。

 

ただし、売買契約には、平成○年○月末時点で立ち退きの見込みが立たない場合等は売主が解除できる旨の約定がありました。

 

相続した不動産が賃貸アパート、マンションなど収益物件として活用されている場合、売却したくても入居者が立ち退いてくれないというトラブルが起こることが予想されます。

 

また、こうした立ち退きを巡るトラブルでは、入居者が法外な立ち退き料を要求してくることが珍しくありません。この事例でも、賃料が6万円であったにもかかわらず、500万円の立ち退き料を求めてきました。

 

しかし、相続人は入居者を立ち退かせるために、そこまでの金額を支払わなければならないことに抵抗感を抱いていました。

立ち退きトラブルなどの悪条件を気にしない業者に売る

そこで私は、不動産の処分方法について、根本的に見直すことをお勧めしました。実は、売買契約で合意していた2億円というアパートの代金は、物件の資産価値を十分に調査したうえで導き出されたものではありませんでした。

 

つまり、他の業者にあたれば、より高い金額で購入してくれる買い手も現れる可能性があると考えたのです。

 

そこでまずは、もとの買主との契約条項にのっとり、契約を解除し、改めて別の買主を探してみました。すると思っていた通り「2億1000万円で購入したい」という業者がすぐに現れました。しかもその業者は「入居者が出ていかなくてもかまわない」と言ってきたのです。

 

もし、当初の契約条件で決着をつけるしかないと思い込んでいたら、最終的には、入居者を立ち退かせるために、500万円を支払っていた可能性が高いでしょう。その結果、2億円の売却代金を得ることができたとしても、実質的には、500万円を差し引いた1億9500万円しか手元には入らなかったことになります。

 

しかし、当初の契約にこだわらず、発想を転換して、新たな買い手を探したことにより、立ち退き料を支払うことなく、なおかつ当初想定していた金額よりも1000万円多い2億1000万円で売却することができたのです。

 

相続した不動産を売却する必要がある場合、このケースのように立ち退きを拒む入居者がいるなど悪条件があるとつい資産価値を低く見積もってしまいがちです。しかし、不動産の評価基準は業者によって大きく異なります。自分では悪条件と考えていても、さほど問題にしない業者もいます。

 

したがって、相続した不動産を少しでも高く売却したいのであれば、複数の業者にアプローチしてみるとよいでしょう。

本連載は、2013年9月20日刊行の書籍『ドロ沼相続の出口』から抜粋したものです。その後の税制改正等、最新の内容には対応していない可能性もございますので、あらかじめご了承ください。

眞鍋 淳也

南青山 M’s 法律会計事務所 代表社員 弁護士/公認会計士

弁護士・公認会計士。南青山M’s法律会計事務所代表。芦屋大学経営教育学部客員教授。
1973年愛媛県生まれ。1995年一橋大学経済学部卒業。2006年成蹊大学にて法務博士号取得。1995年監査法人トーマツ(現 有限責任監査法人トーマツ)入社、上場企業の監査、M&A等に携わる。その後、会計事務所、法律事務所勤務等を経て2009年に南青山M’s法律会計事務所を設立。個人、企業にとって身近な法律問題はもちろん、税務問題、会計問題、それらが絡み合う複雑な問題についても、冷静に問題を分析し、依頼者にとって最も利益となる問題の解決方法を提案、実践している。著書に『ドロ沼相続の出口』(幻冬舎)。

著者紹介

連載ドロ沼相続の対処法と事前防止策

ドロ沼相続の出口

ドロ沼相続の出口

眞鍋 淳也

幻冬舎メディアコンサルティング

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