前回は、保有している「株式」「生命保険」を放置しておくリスクについて説明しました。今回は、スムーズな相続をするためにやっておくべき、「資産の棚卸し」について見ていきます。

保有資産の弱点が分かる「資産の棚卸し」

所得税、相続税が上がったのに「何もしない」ことは、払わなくて済んだはずの税金を払うという、大きな損失につながります。

 

しかも、それが自分一代の損失ではなく、子孫にまで影響するのだとしたら、安穏とはしていられません。子孫がこのまま資産家でいられるようにするためには、何かアクションを起こすべきでしょう。

 

最初にやるべきこととして私がおすすめしているのは資産の棚卸しです。筆者の経験上、資産の多い方ほど自分の資産の全容を把握していないことが多く、相続にあたって資産の調査に時間がかかる傾向があります。

 

相続する子孫にそのような手間をかけさせることなく、スムーズに資産を渡すために不動産、有価証券、預貯金、その他の資産などをきちんとリストアップし、現状を把握することが相続対策の第一歩です。

 

また、資産の棚卸しをすることは、自己保有資産の弱点を洗い出すことにもつながります。前回まで紹介してきたように、気づかぬうちに資産が目減りしていたり、このまま保有し続けるとマイナスが累積する危険性があるかもしれません。あるいは逆に価値が上昇していることに気づくかもしれません。

 

現在は景気上昇局面にあるため、不動産価格も上昇傾向にあります。都心部ではじりじりと値上がりしている不動産もあり、所有者にとっては売却して現金化しやすい状況が訪れています。相続に備えて資産を組み直したり、梃入れしたりするためには、今は絶好のチャンスともいえます。つまりこの時期だからこそ、棚卸しが必要なのです。

相続財産としての評価額も調査して「一覧」に

棚卸しの手はじめにはまず、下記の図表1のように資産を大まかにリストアップします。

 

[図表1]

 

続いてそれを下記の図表2のような財産目録として一覧をつくります。何を所有しているかだけではなく、評価額まできちんと調査して一覧にしておくと、かかる相続税が分かりやすくなります。

 

[図表2]

 

評価額を算出するには、各種の書類、証券などが必要です。もし、これまでそうしたものが自宅やオフィスなどのあちこちに分散していたのだとしたら、この機会にまとめて保管し、もしもの時に残された人が分かるようにしておくことも重要です。

 

また、評価額については自己判断せず、専門家の視点を借りる手も考えてみましょう。もちろん、現時点での価額と何年後かでは差が生じてくる可能性がありますが、それでもきちんと試算してみることで、どのような対策が必要か、相続対策として用意すべき金額が明らかになり、その後の対処に差が出てきます。

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    本連載は、2015年1月23日刊行の書籍『大増税時代に資産を守る富裕層の不動産活用術』から抜粋したものです。その後の税制改正等、最新の内容には対応していない可能性もございますので、あらかじめご了承ください。本書を利用したことによるいかなる損害などについても、著者および幻冬舎グループはその責を負いません。

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    磯部 悟

    幻冬舎メディアコンサルティング

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