不動産投資に関する米国の2つの「優遇税制」とは?

不動産投資がしやすい環境が整っているアメリカでは、税制面でも優遇措置があります。今回は、不動産売却益、不動産税の優遇制度である「1031 Tax Exchange」と「421-a Tax Abatement」という2つの税制について見ていきます。

再投資資金を手元に残せる「1031 Tax Exchange」

アメリカには不動産投資をしやすい環境が整っていますが、その中でも便利な税制度が、通称1031 Tax Exchangeと呼ばれる不動産売却益にかかる税金の繰り延べ制度です。

 

通常では投資物件を売却し、売却益にはキャピタルゲイン税を支払う必要があります。1年以上の長期保有の場合には、連邦税が15%と、州税、市税が加わります。ニューヨーク市の場合では、総額で約35%の税金が課せられます。これでは売却益を元手により大きな投資物件を購入しようとしても、再投資できる金額が少なくなってしまいます。

 

この税金分を繰り延べする制度として、1031 Tax Exchangeを利用することができます。この制度を利用するためには、主に下記の2つの条件を満たす必要があります。

 

①売却物件のクロージングから45日以内に買い換え物件を指定すること

②売却物件のクロージングから180日以内に買い換え物件のクロージングを完了させること

 

一般的な買い換えの場合、買い換え物件は3件まで指定できます。通常、先に売却を行ってから買い換え物件を購入しますが、先に買い換え物件を見つけて後で売却することもできます。この制度は投資用物件であれば同じ種類である必要はなく、例えばホテルから商業施設へ、オフィスビルから集合住宅へ買い換えることができます。また、同じ州内で完結する必要もなく、ハワイからニューヨーク、カリフォルニアからテキサスなど、アメリカ国内であればどこでも可能です。

 

利用回数に制限もないので、何回でも繰り延べができ、投資物件をどんどん大きなものに買い換えることが可能です。ただこの制度は投資用不動産に限っているため、自宅やセカンドハウスに使うことはできません。また、買い換え物件が売却物件より安い場合は差額にキャピタルゲイン税がかかります。

不動産税が優遇措置される「421-a Tax Abatement」

421-a Tax Abatementという不動産税を減税する優遇措置もあります。不動産情報を見ていると、新築物件によくTax abatement 421Aと書いてあることがあります。これは集合住宅の購入や新築物件の建設を促進するために、ニューヨーク市が設けている不動産税優遇措置の一つです。優遇される期間は場所によって異なりますが、10年から25年というのが一般的です。

 

10年間の優遇措置の場合、Tax abatementが適用開始から最初の2年間は不動産税がほぼゼロに近い非常に低い金額に設定されており、その後、2年ごとに20%ずつ上昇します。10年後に優遇措置が満了し、通常の不動産税に戻ります。期間はマンハッタンでは10年間のものが多いのですが、ハーレムやブルックリンなどでは最長で25年間の優遇を受けている物件もあり、10年以上の長期に渡ってランニングコストが低く抑えられるメリットがあります。

 

物件の購入を検討されている方は、その物件がいつからTax abatementを受けていて、いつ終了するのかをご確認ください。物件の買い時、売り時の一つの目安にされるとよいでしょう。

Relo Redac, Inc.  住宅部門バイスプレジデント

リダック住宅部門責任者。ニューヨーク州、コネチカット州、ニュージャージー州、マサチューセッツ州の不動産取引責任者(Broker)ライセンス保持者。
ニューヨーク不動産協会会員。米国不動産歴28年。兵庫県生まれ。1988年よりマンハッタンを中心に数多くの賃貸、売買、投資を手がける。2005年より住宅部統括責任者として日米で数々のセミナーを開催。
世界の投資家が集まるニューヨークで、ブラックマンデー、9.11、リーマンショックなど、自らが体験した28年間に及ぶニューヨーク不動産市場を元に ニューヨーク不動産の強み、落とし穴、日米の商習慣の違いなどわかりやすく解説する。

著者紹介

連載「ニューヨーク不動産」投資の最新事情

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