写真:GTACスタッフ

あらゆる観点から2016年度予算案に対して批判を表明するラージャパクサ前大統領ですが、その中でも政府総収入に対する見込みの甘さを懸念しています。前大統領による予算案への反対声明の全文を掲載している連載の最終回です。

税収入が40%増えるという政府予測だが・・・

年初の補正予算で見られた財政に対する無責任さは、この予算案でも引き続き見受けられました。この予算案では、政府総収入は2015年の1兆4780億スリランカ・ルピー(見込み)から、2016年には2兆470億スリランカ・ルピー、つまり、前年比で5,690億スリランカ・ルピーも増えると予測されています。

 

この増加分のうち3,000億スリランカ・ルピーは税収入によるもので、税外収入は2015年の1,260億スリランカ・ルピー(見込み)のおよそ3倍増、3,780億スリランカ・ルピーになるとされています。政府収入が、前年比で500億~1,000億スリランカ・ルピー以上も増加すると示したい場合、細心の注意を払うべきでしょう。

 

責任ある政府であれば、税収入が40%近くも増加するなんて予測は絶対に立てません。2016年の税外収入が3倍に増えるするのも、既に目星が付けられた国営事業の売却によるためでしょう。つまり、2016年の税外収入は急激に上がるが、その後に続くものはないも同然なのです。

 

更に忘れてはいけないのが、2015年の税収入および税外収入の値もまだ確定されていません。今年の経済活動の低迷を考えると、2015年の予算額にすら到達しないかもしれないわけです。つまり、修正を経て確定される2015年の歳入と2016年の見込みの歳入の差は更に広がる可能性があります。歳入予算を達成できなければ、支出を減らす必要があります。給与や経常支出はなくすことが出来ないので、削減されるのは資本支出が主になります。

財政と国際収支の危機に直面していると警告

そのため、私たちが見せられたものから言えるのは、来年もまた一切発展のない一年になるということです。外国から資金援助を受けているプロジェクトにしても、政府が該当事業に15%分を前払いできない限り、スタートを切ることは出来ません。

 

ガス料金やいくつかの食品の料金、また低所得者の税率など国民が関心を持ちやすい項目で、負担軽減が出来ているように見せる試みがされていますが、全体を見ればこの予算が確実にスリランカを後退させるということが分かるでしょう。

 

この政府の急所は、会計と対外収支の管理です。この弱点により、スリランカ全体は会計面および国際収支面の問題に直面しているのです。そして、その問題を解決する猶予は刻一刻となくなっています(了)。

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    この記事は、GTAC提携のスリランカのニュースサイト「EconomyNext」が2015年11月29日に報じた記事を、翻訳・編集したものです。

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