前回は、太陽光発電投資に掛かる初期投資について概説しました。今回は、太陽電池パネルの性能を中心に見ていきます。

大量生産で価格低下が見込める「薄膜シリコン」タイプ

太陽光発電で用いられる太陽電池は大きく分けると、シリコン系と化合物系の2つに分かれます。シリコン系では、結晶系の単結晶、多結晶、薄膜系のアモルファス、多結合。この4タイプが主に利用されます。

 

このうちいま最も広く使われているのが、シリコン系多結晶です。最も古くからあるシリコン系単結晶に比べ、省エネルギーな方法で製造することができるのが一つの特徴です。光のエネルギーを電気のエネルギーに変換する効率も、単結晶に比べれば劣るものの太陽電池全体で見れば高いほうです。

 

これらに対して、時代とともにシェアを伸ばしているのが、同じシリコン系の薄膜シリコンや化合物系です。薄膜シリコンは文字通り、結晶シリコンの100分の1程度と薄いシリコン膜を用いるものです。化合物系は、銅、インジウム、セレンといった金属を用いたCIS太陽電池が知られています。ともに、結晶系に比べると変換効率は落ちますが、大量生産しやすいことから価格の低下余地が見込めるのがメリットです。

 

またシリコン系単結晶・多結晶は太陽電池を直列に配列するのに対し、薄膜シリコンや化合物系は並列に配列します。その結果、太陽電池パネルの一部に影が掛かって太陽電池の一部が機能しなくなったとき、シリコン系単結晶・多結晶では発電効率が著しく低下するのに対し、薄膜シリコンや化合物系であれば発電効率の低下は一定程度に抑えられるという違いが生じます。これも、薄膜シリコンや化合物系のメリットです。

 

この特性は、例えば豆電球を点灯するのに複数の乾電池を直列につなぐのと並列につなぐのとどう違うかを思い出していただければ、ご理解いただけるでしょう。乾電池の中に電気の流れない乾電池が一つ混じっていた場合には、直列では電気を流す回路として機能しないため豆電球を点灯させることはできません。しかし並列なら、電気を流す回路として機能するので豆電球を点灯させることが可能です。ここで電気の流れない乾電池を、影が掛かって発電しない太陽電池に置き換えて考えればいいのです。

国内外の太陽電池パネルには性能上の大きな差はない

メーカーは国内外にわたります。国内では例えば、東芝、パナソニック、シャープ、京セラ、三菱電機、ソーラーフロンティア、長州産業といったメーカーが知られています。強みは、ブランドの安心感です。これに対して海外では、例えば、アップソーラー、トリナ・ソーラー、サンテックパワー(いずれも中国)、カナディアン・ソーラー(カナダ)、ハンファQセルズ(韓国)、サンパワー(米国)といったメーカーが知られています。強みは、安さです。

 

ただ、安いからと言って性能が劣るのではないかという心配を抱く必要は、それほどないと思います。国内メーカーでも製品の生産は海外メーカーの工場にOEMとして生産委託している例が少なくありません。同じ工場で製造されながら、一方には国内メーカーのブランドが付くので高く売れ、他方には海外メーカーの名前しか付かないのでそう高くは売れない、というのが現実です。

 

そのため、ブランド重視の傾向が強い住宅用には国内メーカー製が向いていると言えますが、投資用なら明らかに海外メーカー製が向いています。初期投資をどこまで抑えられるかが、利回り向上のカギを握るからです。筆者のこの約10年の経験では、国内外の太陽電池パネルには性能上の大きな差は見られませんでした。

本連載は、2015年10月28日刊行の書籍『「マンション経営」よりラクで、確実に儲かる!太陽光発電投資』から抜粋したものです。その後の税制改正等、最新の内容には対応していない可能性もございますので、あらかじめご了承ください。

「マンション経営」よりラクで、確実に儲かる! 太陽光発電投資

「マンション経営」よりラクで、確実に儲かる! 太陽光発電投資

松田 貴道

幻冬舎メディアコンサルティング

電力会社の買い取り価格の単価がこの3年で約3割も下がり、最近では「太陽光発電はもう儲からない」と言われるようになってきました。しかし、投資額を抑えたり発電量を確保することで、投資利回りを下げずに済みます。やり方次…

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