不動産 国内不動産
連載近隣物件よりも高い賃料で長く儲けるマンション経営術【第17回】

なぜ音楽に特化したシンプルな部屋が求められるのか?

音楽マンションミュージション

なぜ音楽に特化したシンプルな部屋が求められるのか?

「ミュージション」は、過去の成功・失敗から得た教訓と、入居者の声を生かして現在のかたちになりました。今回は、そうした教訓などについて見ていきます。

貴重な経験となった建設時の「2つの失敗」とは?

現在のミュージションは、過去の成功・失敗から得た教訓と、入居者のみなさんの声を活かして作られたものです。

 

ミュージションの歴史が始まったのは1987年、ミュージション成増からでした。ミュージション成増は、総戸数29部屋のワンルームマンションの地下に、5戸のスタジオを設けるという当時としては斬新なものでしたが、前代未聞の挑戦だったため、2つの失敗を犯してしまいました。

 

①防音に関する技術的な失敗
地面に接する半地下にスタジオを作ることで振動を吸収するはずだったが、配管などを通じて上の階に音が伝わってしまった。
②マーケティング戦略の失敗
賃料相場の見当がつかず、相場並みの価格で入居者を募集したところ、ロック好きの苦学生という入居者が増え、管理に苦労しただけでなく、投資としても満足のいく結果が得られなかった。

 

この中でもスタジオからの音漏れは、大きなダメージでした。その後、様々な対策を講じても音漏れが解消されることはなく、地下スタジオは結局、倉庫に転用されました。現在、ミュージション成増は音楽マンションではなく、一般的な賃貸マンションとして利用されています。しかし、この悔しい失敗は貴重な経験となりました。

「余分な設備」が投資効率を下げることに・・・

ミュージション成増の失敗を教訓に、次のミュージション川越を作る際には、細心の注意を払いました。まず考えたのは、ミュージション成増ではなぜ、地下スタジオを設けたにもかかわらず、家賃がアップできなかったのか? ということです。

 

そしてたどりついた答えは、音楽マンションを謳いながら、楽器を弾ける場所を地下スタジオに限定したこと、つまり、マンション全体を遮音にするというチャレンジから逃げたことがよくなかったのではないかということでした。

 

そこで、ミュージション川越は、すべての部屋で楽器が弾けるマンション、それも単なる「楽器可マンション」ではなく、「好きなだけ音楽を楽しめるマンション」を目指すことにしました。

 

収益面については、バンドマンが対象だったミュージション成増からターゲットを変更し、クラシック系の音楽家やサラリーマンの音楽愛好家など、ある程度の家賃を払える人に選ばれるマンションを作ることで、利回りのアップを目指しました。

 

これらの軸に基づき、ミュージション川越は、2000年に無事に完成しました。結果はといえば、室内で楽器が演奏できる高い防音レベルが実現し、賃料もアップしたという面では成功だったのですが、投資効率は上がりませんでした。その理由は、上がった賃料以上に工事にコストをかけてしまったからです。

 

実は、ミュージション川越では、居住スペースに大きなゆとりのあるスタジオタイプを加えたり、共用廊下に大きな吹き抜け空間を作ったりと、今思えば「音楽に関係のない過剰な建築的コスト」をかけすぎたところがありました。

 

その経験を活かして、次のミュージション志木では、音楽に関係ない部分の過剰な設備は削ったものの、こちらもメゾネットタイプの部屋を作ったり、バスルームをガラス張りにしたりと、自分なりに工夫を凝らした部屋ほど㎡賃料効率がダウンし全体の足を引っ張るという、苦い結果となりました。

 

入居者の反応は正直です。オシャレだと思ったガラス張りのバスとトイレは女性入居者には不評でしたし、賃料アップにつながると考えていたロフトも、住んでいる人に聞くと使われていないということがありました。反対に、入居者から届く声は、「音楽CDを制作する機械をつなぐための200ボルトの電源を使えるコンセントを設置したい」など、音楽に直結したものばかりでした。

 

つまり、ミュージションの入居者は、音楽以外の余分な設備には価値を感じないのです。ミュージション登戸とミュージション野方は、この入居者の声を活かし、音楽に特化したシンプルな1Kタイプで構成してあります。

本連載は、2011年2月28日刊行の書籍『近隣物件よりも高い賃料で長く儲ける満室賃貸革命』から抜粋したものです。その後の税制改正等、最新の内容には対応していない可能性もございますので、あらかじめご了承ください。

鈴木 雄二

株式会社リブラン 代表取締役

1967年、東京生まれ。株式会社大京にて分譲マンション事業用地の仕入を担当。その後、1992年、株式会社リブランへ入社し、2002年、同社代表取締役に就任する。マーケットシェアを奪い合う分譲マンション業界で、同業他社とは同じ土俵で勝負しない経営スタイルを堅持。24時間、音楽漬けを可能とするマンション「ミュージション」の分譲、賃貸事業を行い、新たなマーケットの創造を行う。

著者紹介

連載近隣物件よりも高い賃料で長く儲けるマンション経営術

満室賃貸革命

満室賃貸革命

鈴木 雄二

幻冬舎メディアコンサルティング

今後50年余りで、日本の人口は約9000万人にまで減少すると予想されています。これは、現在の人口から約3割もの人がいなくなる計算です。そのような将来が予想される中、今でも賃貸マンションは次々と建ち続け、オーナーさんは…

Special Feature

2016.11

「法人保険」活用バイブル<書籍刊行>

決算対策、相続・事業承継、財産移転・・・企業とオーナー社長のさまざまな課題解決に、絶大な効果を発揮する「法人保険」の活用…

GGO編集部(保険取材班)

[連載]オーナー社長のための「法人保険」活用バイブル~決算対策編

【第19回】保険のための医的診査 結果が「少し悪い」ほうが社長が喜ぶ理由

GTAC(吉永 秀史)

[連載]法人保険を活用した資産移転の節税スキーム

【第15回】「逆ハーフタックスプラン」活用時の留意点

Seminar information

海外不動産セミナーのご案内

「ニューヨーク不動産」投資の最新事情

~世界の投資家が集まるニューヨークでの不動産投資とは?  現地日系の最大手不動産会社の担当者が語るNY不動産活用術

日時 2016年12月07日(水)
講師 川上恵里子

事業投資セミナーのご案内

いま最もアツい再生可能エネルギー「風力発電」投資を学ぶフェア

~2016年度の買取価格は55円。業界の最新事情と専門会社が取り扱う投資案件の実際

日時 2016年12月07日(水)
講師 近藤陽一

不動産活用セミナーのご案内

償却メリットを狙った「京都の町家」投資の魅力

~建物比率5割超&4年で減価償却も可能!独自の不動産マーケットを形成する京町家だから実現する投資法

日時 2016年12月10日(土)
講師 平野準

The Latest