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連載引き継いだ赤字企業の「再生」術【第17回】

事業再生においても「パートナー選び」が重要な理由

自己破産復権事業再生

事業再生においても「パートナー選び」が重要な理由

自己破産と聞くとマイナスの影響を恐れる人が少なくありませんが、何よりも大事なことは経営再建です。そのために必要であれば、自己破産も取るべき手段のひとつです。今回は、自己破産の法的な意味でのデメリットが少ない理由と、事業再生におけるパートナー選びの重要性について見ていきます。

自己破産で喪失した資格は復権可能

自己破産の結果、自らの社会的な活動にマイナスの影響がもたらされることをおそれている人もいるかもしれません。確かに破産をすると、例えば以下に挙げたような公的もしくは私的な資格を喪失することになるのは事実です。


●会社の役員
●弁護士
●公認会計士
●税理士
●公証人
●司法書士
●不動産鑑定士
●土地家屋調査士
●有価証券投資顧問業者
●証券取引外務員
●公安委員会委員
●質屋
●生命保険募集人及び損害保険代理店
●商品取引所会員
●警備業社及び警備員
●風俗営業及び営業所の管理者
●建設業者及び建設工事紛争審査会委員
●宅地建物取引業者及び宅地建物取引主任者

 

しかし、このような一部の資格を失う以外は、基本的にそれまでの社会的地位に変化は生じないでしょう。例えば、公民権もなくなるわけではなく、選挙権も被選挙権もそのままです。しかも、失った資格は復権によってすぐに取り戻すことができます。復権とは、破産したことによって失った公私の諸資格を一般的に回復することです。破産者は、以下の場合に当然に復権します。

 

①免責許可の決定
②同意による破産手続き廃止
③再生計画認可決定の確定
④詐欺破産罪につき有罪とされることなく破産手続き開始後10年が経過した場合(そのほか破産者が弁済その他の方法で債務の全部につき責任を免れたときは、裁判所に申し立てをし、復権の決定を得ることもできます)。

 

①の免責許可は通常であれば、ほとんどの人が問題なく得ることができます。つまりは、大半の人は破産したとしてもすぐに復権することができるわけです。

 

免責によって債務はなくなる、資格を失ってもすぐ回復する――。こうしてみると自己破産には法的な意味においてデメリットはなく、メリットのほうがはるかに大きいといえるかもしれません。事業再生のために必要ならば、自己破産をためらわず、未知の体験を楽しんでやろうぐらいの気持ちで挑めばいいでしょう。

事業再生はノウハウや経験を備えたパートナーと共に

また、別会社による事業再生を進めるうえでは、法律や税務、会計等に関する専門的な知識も求められることになります。そこで、弁護士や税理士、公認会計士等の専門家とパートナーシップを組むことは不可欠となるでしょう。

 

しかし、パートナー選びには細心の注意が必要です。筆者は、自社の再建後、他社の事業再生に関する相談に応じてきたり、あるいはサポートにも関わってきました。その経験から、弁護士、税理士、公認会計士のような専門家であっても、現実に事業再生を手がけられるだけの十分なノウハウや経験を備えている人はごくわずかであるという実感をもっています。

 

また、これらの公的資格をもった専門家たちのほかに、“事業再生コンサルタント”などと名乗って会社の再建を手がけている人たちもいます。筆者は、そうした人たちもこれまで大勢目にしてきましたが、この人は本当に信頼できると万人に勧めることができるような事業再生コンサルタントは、100人のうちせいぜい5人程度でした。

 

万が一、パートナー選びを誤ってしまうと、多額のコンサル料をとられただけで、再生のために何一つ役に立つことをしてくれなかった――と悔やむことになりかねません。自己宣伝などは鵜呑みにせず、まずは、どれだけ事業再生の実績があるのか、どれだけの会社を立て直すことに成功してきたのかをしっかりと確認することが大切です。

 

筆者の例も示しているように、ベストのパートナーを選ぶことができれば、事業再生を申し分ない形で実現することができるでしょう。事業再生は時間との勝負という面もありますが、ぜひ可能な限りの時間と手間をかけて、理想のパートナーを見つけ出してください。

本連載は、2014年10月25日刊行の書籍『引き継いだ赤字企業を別会社を使って再生する方法』から抜粋したものです。その後の税制改正等、最新の内容には対応していない可能性もございますので、あらかじめご了承ください。

高山 義章

株式会社スペース 代表取締役兼CEO

1954年東京都生まれ。三井不動産販売退職後、祖父が大正12年に中野で創業した「山一不動産」の3代目に就任。バブル崩壊とともに300億円の負債を背負いながら、事業再生に奔走する。1996年「スペース」を創設し、「山一不動産」の営業権譲渡を行うことで、先代からの基盤を守り、社員を切り捨てることなく事業再生させた。現在はこの時の自身の経験を元に、同じような悩みを抱える中小企業経営者の相談に乗り、専門家チームのメンバーとして、ボランティアでアドバイザーも務めている。中野区観光協会準備会メンバー。一般社団法人中野区観光協会監事。

著者紹介

連載引き継いだ赤字企業の「再生」術

引き継いだ赤字企業を別会社を使って再生する方法

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高山 義章

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