前回は、相続を機に愛人の存在が露見しないための「生前のケア」について紹介しました。今回は、生前ケアの一つとして、マンション贈与とともに愛人関係も清算する方法について見ていきます。

マンション贈与で関係を清算するのも一つの手

相続が発生した際、社長名義のマンションに女性が住んでいることがわかれば、愛人の存在が確実に発覚してしまいます。そのため、相続のことを意識する年齢や状況になると、愛人関係を解消して「愛の巣」をどう処分するか考えておくべきです。

 

社長名義のマンションに暮らしている愛人にとって、「いつまで住んでいられるかわからない」というのは大きな不安ですので、社長は思い切ってマンションを贈与して、関係を清算するというのも一つの手です。

 

どんな人にとっても、住まいの確保は安定した生活の基本です。生活費に困るような場合や大きなお金が必要になった時などには、売却することも可能ですので、マンションを持つことは確かな安心感につながります。住む場所についての安心を確保することは、関係を解消するよいきっかけになるかもしれません。

「死後の生活まで考えている」という意思表示が大切

税理士として認めることはできませんが、単に愛人の居住用として確保するためだけであれば、社長の出張時の滞在先用として会社名義でマンションを購入することはできるでしょう。たとえ社長が亡くなっても、マンションは会社のものですので、相続によって妻にはばれないかもしれません。ただ、万が一住み続けるとしたら、後継者にはこのマンションに住む女性が何者かわかります。

 

後継者や信頼できる部下にはあらかじめ愛人の存在を教えておく必要がありますが、一般的には愛人がそのままマンションに住み続けることはなかなかないでしょう。愛人関係を清算することを目的とするならば、贈与契約書やマンションの登記簿に社長から愛人への所有権の移転という履歴は残ってしまいますが、やはり贈与税対策を考えて、マンションを贈与しておく方がよいと思われます。

 

社長が死後の生活のことまでしっかりと考えているという意思表示をすることで、愛人の側も少しは気持ちが穏やかに関係を清算してくれるかもしれません。しかし、愛人の気持ち次第ですので、その保障はありません。

 

ここでは、あくまで愛人関係を清算するために、少しでも参考になればと記載していますし、筆者も簡単に清算できると考えているわけではありません。実際の対策としては、関係を断ち切ることにつきます。しかし、それがなかなかできないために何とかしようとしている社長の話として、面白く読んでいただきたいのです。

本連載は、2015年10月27日刊行の書籍『妻に隠しごとがあるオーナー社長の相続対策』から抜粋したものです。その後の税制改正等、最新の内容には対応していない可能性もございますので、あらかじめご了承ください。

妻に隠しごとがあるオーナー社長の相続対策

妻に隠しごとがあるオーナー社長の相続対策

佐野 明彦

幻冬舎メディアコンサルティング

どんな男性も妻や家族に隠し続けていることの一つや二つはあるものです。妻からの理解が得にくいと思って秘密にしている趣味、誰にも存在を教えていない預金口座や現金、借金、あるいは愛人や隠し子、さらには彼らが住んでいる…

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