「リコール制」の導入に向けて議論が高まるスリランカ

写真:GTACスタッフ

スリランカでは、過去にもリコール制度が提案されたことがありましたが、いま改めて制度の導入に多くの関心が集まっています。連載の最終回はスリランカでのリコール制の導入に向けた動きをご紹介します。

実は過去にも提案されていたリコール制

リコール制度はスリランカに、より参加型の民主主義をもたらすことができるのだろうか。一部の専門家や活動家はそのように考えている。

 

遡って2006年8月、国会議員に対して世論の風当たりが厳しさを増していた当時、 政府から「スリランカ問題 」に対して意見を求められたセイロン商工会議所が、「有権者による議員のリコール制度の構築」を提案していたことを、弁護士で元財務省長官のCharitha Ratwatte氏が、2014年11月の記事で明らかにした。

 

提案書の内容を要約すると、選挙区の20%以上の有権者が請願書を選挙委員会に提出し、国会議員(最低2年間任期を終えた後)のリコールを要求する。そして、その要求を受けて委員会は、議員の将来を決定する住民投票をおこなうというものだ。過半数以上の有権者が議員の免職に賛成した場合は、政党内のリストで免職される議員の次に名前がある議員が公示され、選出される。これの制度は国会、地方議会、そして地方自治政府の全ての選挙に適応される。

 

大変残念なことに、この提案とそれに付随した事柄は暗礁に乗り上げた。しかし、そのアイディア自体は今も生きている。

 

2015年の総選挙の前哨戦中、非営利団体のSwarajya財団が始めた、クリーンで有能な立候補者を求めるキャンペーン(CCCC)によって、セイロン商工会議所がかつて提案したリコール法案が復活したのである。Swarajya財団は、コロンボ県においてインディペンデント・グループ9という団体で出馬し、憲法改正を通じてリコール制度を導入することを公約に掲げた。

 

CCCC の中心的メンバーであるUpali Chandrasiriは「国民主権はリコール制度によって確かなものになるでしょう」と話す。彼は、リコール制度によって、国や政府に集中しがちな権力のバランスを、主権者である国民の側に戻すことができると指摘している。

スリランカでのリコール制導入に懐疑的な見方も

コロンボ大学社会学部のSiri Hettige教授はリコール制度に対して好感を抱いている。


「民主主義を有意義で価値のあるものにするために、多くの政治改革が求められている。第一に、政治的なリーダーに責任をもたせるための改革が必要であり、リコール制度はそのための一つの方法となる」とインターネット上でコメントしている。しかし、全ての人がリコール制度に乗り気な訳ではない。憲法学者で、現在エディンバラ大学法科大学院に在籍しているAsanga Welikala博士 は、「リコール制度が必要な市民文化をスリランカが持っているとは思わない」と筆者のツイッターに返信を寄せた。

 

リコール制度を導入すべきか否か、それがここでの問題だ。導入すべきかどうか、そしてスリランカにとって最も有益な制度はどのようにして構築できるのか、まずは国民がより幅広い議論をおこなうべきである。

この連載は、GTACが提携するスリランカのメディア「ECHELON」が2015年10月に掲載した記事「Can the ‘Right to Recall’ empower lankan Voters?」を、翻訳・編集したものです。

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『ECHELON(エシュロン)』は、スリランカの三大ビジネス誌のひとつ。著名な経営者・ビジネスパーソンのインタビュー記事から、同国の金融・経済・投資・不動産などの最新事情、ラグジュアリーなアイテムやライフスタイル等の記事を幅広く掲載。経営者層やハイクラスなビジネスパーソンなど、同国の物的・知的富裕層を多数読者に抱える。(写真はチェアマンのChanna De Silva氏)

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