今回は、投資対象として中小企業のM&A案件をどう見るかを取り上げます。※本連載では、株式会社日本経営承継支援の代表取締役である笹川敏幸氏が、「小規模M&A」の有用性を成功事例をもとに説明します。

やはりリスクが高い「ベンチャー投資」

前回までに、中小企業の事業承継型M&Aを2件ご紹介しました。M&Aは、ここ数年で広く一般にも認知された経営手法として定着し、とりわけ、中小企業の後継者問題解決のためにM&Aは数多く活用されています。

 

 

ご紹介させていただいた通り、譲渡されるオーナーの方は様々な葛藤の中でM&Aを成就させています。今回は視点を変え、譲り受けを検討する投資家の方々の視点から、中小企業の企業買収について、私見ではありますがご紹介させて頂きます。

 

■実はリスクが大きいベンチャー投資

 

投資家のうち、特に個人投資家といわれる方は、M&A案件を投資案件としてみたことがあるでしょうか。おそらく、将来有望なベンチャー企業の一部出資などの投資話として聞いたことがあるのではないでしょうか。

 

まだ創業間もない企業の将来性を買い、数年後の上場益等のキャピタルゲインを狙う、といった投資話がそれです。

 

私もこれらの投資話は数多く聞いてきましたが、実際にキャピタルゲインを実現できたという話は少ないかと思います。これは、創業間もない企業や新規事業では想定外の事が起こり、事業が計画通り進まないことや、そもそもの事業計画に無理がある場合もあり、投資としてはリスクが大きい話も多いからだと思います。

 

ただ、これらの中には成功する話もあるのは事実です。これを見極めるには、事業性と参入障壁、市場規模と成長性、事業計画の実現性、経営者の資質などから、投資によるリスクとリターンがバランスしていることを慎重に確認することが、当たり前ですが極めて重要となります。

事業承継型のM&A…企業経営同様の覚悟が必要

■中小企業の事業承継型のM&Aは覚悟が必要

 

では、事業承継型のM&Aは投資として検討するのはどうでしょうか。上述したベンチャー投資と事業承継型のM&Aでは大きく異なる点があります。これは経営権が移転するか否かです。

 

 

事業承継型のM&Aは何十年にもわたる企業基盤がある企業が売り手となるため、投資としては、ベンチャー企業と比べて安全性ははるかに高いということはいえます。しかし、これら売り手側の目的は譲渡することによる経営権の移転であるからです。

 

個人投資家がM&Aを検討する場合は、この経営を担える方(または自身で経営)も同時に探索しなければなりません。事業は大きなリターンをもたらすこともありますが、当然マイナス(赤字)となることもあります。安易に誰かに経営を任せること、それ自体がリスクを高めることかもしれません。

 

それを踏まえると、個人投資家の方は中小企業のM&Aを投資案件として検討するには、企業経営同様の覚悟が必要なのではないでしょうか。

 

そもそもM&Aで企業を譲り受ける側は、その売り手企業(事業)そのものが有する価値だけではなく、自社と一体となることによって期待される相乗効果(シナジー)を享受することを目論んでいます。

 

しかし、事業会社に限らず、既に売り手企業(事業)と親和性のある事業に投資しているファンドや投資家、また、一定期間に問題点を解決・除去する役割を果たした上で、他の事業会社に売却(イグジット=出口)することを生業にしているファンドや投資家も十分にその可能性を持っています。

 

個人投資家の皆様にとって事業承継型のM&Aは、自身の経営能力(第三者に経営させる場合も含め)も併せて検討する必要があるため、投資の際には売り手企業の事業内容をより見極める力と、事業価値を高める自身の意欲も必要があるといえるでしょう。

 

■最後に

 

今回は、投資家の方にとってのM&Aについて記載いたしましたが、私がこれまでにお手伝いさせていただいた経験から、M&Aはシナジーのある事業法人が買い手となる方が取引先や従業員等のステークホルダーの理解も得やすく、成功する確率は高いと思います。

 

しかし、個人投資家の方が企業に投資する場合は、これらステークホルダーの理解も得る必要があり、一部出資の場合を除けば、単に投資としてだけでは成功確率は低いと言わざるを得ません。こうしたリスクを良く理解した上で、投資を行うことが重要です。

 

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