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連載スリランカから見るイスラム金融の今【最終回】

宗教とビジネスの間で揺れる「イスラム金融」

スリランカイスラム金融

宗教とビジネスの間で揺れる「イスラム金融」

公共事業の資金の担い手というポテンシャルも持つイスラム金融。スリランカの記事を元にしてお伝えしている連載の最終回では、イスラム金融最大の課題ともいえる「宗教とビジネスのギャップ」について見ていきます。

倫理に適った投資で非イスラム教徒にもアピール

今日、イスラム金融機関は、一般の銀行と同様にビジネスの論理で動くことを求められている。そのため、イスラム金融機関は商品やサービスを競争力のある価格で提供する必要がある。そしてイスラム銀行も一般の銀行も、手数料は同じよう金額になっている。

 

しかし、二つの銀行の商品と手数料の組み合わせは、数字上は似たものに見えるかもしれないが、一番の違いは取引のプロセスだ、とスリランカでイスラム金融の普及に努めるMubarak氏は説明する。

 

彼はそれを、2つの見た目がそっくりなチキン料理が、片方はハラール(イスラム法適格)でもう片方はハラーム(非適格)かもしれないと言い、両者の違いは商品の外見ではなく、どう取引されるかにあるのだとし、次のように語る。※

 

「(従来の銀行とは)経済的な収益性で競合するかもしれません。しかし、イスラム金融はいくつかの倫理基準を提供してくれます。たとえば、ギャンブルやアルコールなどの社会的に望ましくない分野や投機の要素が大きい市場には一切関与しません。」

 

セイロン商業銀行のイスラム部門長であるFeroza Ameen氏も次のようにコメントを寄せている。「コロンボおよび他の支店のポテンシャルは非常に高いです。メインのターゲットはイスラム教徒ですが、倫理にかなった融資などの魅力的な特徴は、非イスラム教徒も惹きつける可能性はあります。」

イスラム金融は現実的に機能するのか?

シャリーア(イスラム)は公平さを謳い、過剰な利益を課すことを禁じている。しかしビジネス上の判断に基づいて取引を行って利益を稼いでもいる。イスラム銀行は、形式的にはイスラム法に拘束されている一方で、精神的には純正ではいられない点が悩ましいところだ。

 

スリランカのような国では、イスラム金融業界は無視するには大きすぎる存在となってきた。2005年以降、イスラム金融は注目されるようになってきたが、スリランカのイスラム金融業界は規制上のハードルをいくつか抱えている。業界が発展するために取り組むべき課題として、他のタイプのイスラム金融商品の取り扱いも可能になるよう銀行法を改正すること。規制当局にイスラム金融のコンセプトをきちんと理解してもらうこと。イスラム金融のプロを育成することなどが挙げられる。またこれら以外にも課題は多くある。

 

理論上では、イスラム金融が国際金融システムに価値を付加できることには間違いないのだが、シャリーアに基づいたイスラム金融の可能性を開花させるには、多くの課題を解決する必要があるだろう。特に理論と実践のギャップを極力埋めていくことに一番集中するべきだ。世界中が、イスラム金融のシステムが現実的に機能するのかという疑問の答えを待っている。

 

※イスラム法では、豚肉など禁じられている食品(ハラーム)を口にすることに加え、チキンなどの適格な食品(ハラール)であっても、口にするには適切な調理法が必要とされる。

この連載は、GTACが提携するスリランカのメディア「ECHELON」が2015年10月に掲載した記事「Demystifying Islamic Finance」を、翻訳・編集したものです。

ECHELON

『ECHELON(エシュロン)』は、スリランカの三大ビジネス誌のひとつ。著名な経営者・ビジネスパーソンのインタビュー記事から、同国の金融・経済・投資・不動産などの最新事情、ラグジュアリーなアイテムやライフスタイル等の記事を幅広く掲載。経営者層やハイクラスなビジネスパーソンなど、同国の物的・知的富裕層を多数読者に抱える。(写真はチェアマンのChanna De Silva氏)

著者紹介

連載スリランカから見るイスラム金融の今

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