イスラム法と金融行政の両面から規制を受けるイスラム金融

非イスラム国にも広がるイスラム金融。独自の経営方針と商品は、経済の活発化にもつながると期待される一方で、受け入れる側の体制整備も必要となっています。イスラム金融についてスリランカの記事を元にしてお伝えしている連載の4回目です。

スリランカにおけるイスラム金融の「課題」とは?

「イスラム金融への関心は一部で高まっています。なぜなら市場の流動性が高く、世界中の投資家たちが中東外での好機をつかみ取りたいからです」とスリランカでイスラム金融の普及を行うMubarak氏は話す。

 

しかしスリランカのイスラム銀行は、従来の銀行セクターや未整備な諸規制に対して真っ向から向き合う必要がある。またイスラム銀行の市場はスリランカでは小さく、他の南アジア諸国のイスラム金融市場と比べると利益が少ない。そのため世界中のイスラム金融の投資家たちを惹きつけるには多くの課題があるだろう。

 

スリランカにおけるイスラム金融が抱える課題のひとつは規制面に見られる。規制当局はイスラム金融の特徴を考慮していないため、イスラム金融の可能性の開花が阻まれている。さらに、このことは更なる課題を生んでいる。当局による監督や規制による枠組みなしに、複雑なイスラム金融商品や国境を越えた取引方法が確立してしまっているのだ。

イスラム銀行にのしかかる「バーゼル規制」

1985年に制定されたスリランカの銀行法は2005年に、イスラム銀行に道をひらく目的で、イスラム金融の特徴である損得分配モデルを認める改正をした。しかし正式に認められたにもかかわらず、スリランカのイスラム金融機関は必ずしも中央銀行から直接管理されているわけではない。イスラム金融が発達したマレーシアでは、イスラム銀行を後押しするため、国営のシャリーア・ボード(イスラム金融の監視機関)が設置されている。

 

スリランカのイスラム金融機関は、それぞれが設置したシャリーア監視委員会(SSB)によってシャーリア(イスラム法)に適格かどうかを確認している。SSBは権限をもって金融機関の業務を指導したり、資金調達を監視したり、問題に対して助言を与える。またイスラム金融業界を監視するために、イスラム金融の部署を持つ国内銀行やリース会社は、中央銀行に財務諸表を提出することを要求されているが、それらは非公表である。

 

世界的に見るとイスラム銀行は十分な資本を持っているが、主にキャピタルリスクを緩和するためのバーゼルⅢ規制には馴染まない課題を抱えている。2015年3月にスリランカ中央銀行は、銀行セクターにバーゼルⅢに沿うかたちで新たな資本の流動性基準を導入した。バーゼルⅢの流動性カバレッジ比率を採用し、融資の様々なセグメントに合わせて資本カバレッジを調整することを銀行セクターに要求した結果、ハイリスク融資にはより多くの資本が必要になった。

 

しかし、イスラム金融機関は例外として免除された。「中央銀行によるいくつかの規制は、イスラム金融機関にも適応されています。しかし、イスラム金融機関と厳しい監視下に置かれる従来の銀行の違いから、規制当局は柔軟な対応をとることにしました。独立しているイスラム銀行は、100億スリランカ・ルピーという最低資本の基準を2018年までに到達することが求められています」とMubarak氏は説明する。

 

次回は引き続き、スリランカにおけるイスラム銀行に対するバーゼル規制の影響をお伝えします。

この連載は、GTACが提携するスリランカのメディア「ECHELON」が2015年10月に掲載した記事「Demystifying Islamic Finance」を、翻訳・編集したものです。

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連載スリランカから見るイスラム金融の今

『ECHELON(エシュロン)』は、スリランカの三大ビジネス誌のひとつ。著名な経営者・ビジネスパーソンのインタビュー記事から、同国の金融・経済・投資・不動産などの最新事情、ラグジュアリーなアイテムやライフスタイル等の記事を幅広く掲載。経営者層やハイクラスなビジネスパーソンなど、同国の物的・知的富裕層を多数読者に抱える。(写真はチェアマンのChanna De Silva氏)

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