独自の倫理でビジネスを展開する「イスラム金融」

金利の設定が禁じられているイスラム銀行では、事業者(銀行)と出資者(預金者)で損得を分配することで、収益モデルを構築しています。損失が発生すると、預金者も損失を被ることから、リスク管理がより重要になってきます。イスラム金融についてスリランカの記事を元にしてお伝えしている連載の3回目です。

イスラム金融の主な収益源はサービス手数料

イスラム銀行が収益を得る2番目の方法は、サービス手数料を課すことだ。イスラム銀行では、どんな取引も二当事者で成立するとの考えを持つ。その一方の当事者として銀行は、ある特定の事業に時間と労力を費やす。ここにサービス手数料を課すのだ。これは銀行の主な収入源であり、イスラム金融では唯一定率となっている。

 

3番目の収入源は、銀行のリース業や割賦販売のビジネスと関係している。そこではマークアップ方式で価格が設定される。そしてマークアップ率は商品や顧客が求めるスキームに応じて、固定か変動かが変わってくる。この場合、銀行は利子ではなくレンタル業による収益として、収入を得る権利があるとされる。

 

利益も損失も分配して、オーナーシップやリスクを分担するという考え方は、従来の銀行とイスラム銀行を差別化する重要な要素だが、ハイリスクならリターンも大きく、ローリスクならローリターンであるのは変わらない。

 

しかし、イスラム銀行は他の金融機関以上に、リスクを最小限にするために手厳しい手段を取る。「デフォルトの影響が大きいため、私達の顧客審査は従来の銀行のそれよりも厳しくなっています。というのも、デフォルトは預金者に直接的な影響を与えてしまうからです」とスリランカにあるHNB銀行のイスラム部門長であるHisham Ally氏は説明する。

債務不履行への対応にも特徴あり

銀行の観点で言えば、抱えるリスクは大きい。一般の銀行同様、イスラム銀行は時折、債務不履行の問題に直面する。一般の銀行では、債務不履行者やその保証人にペナルティを課すことは避けられないが、イスラム銀行は顧客一人ひとりと向き合う。

 

「私たちは、債務不履行や履行遅延の背後にある理由を追求します。もしこれが病気や不慮の事態など正当な理由であれば、顧客との関係をむやみにこじらせず、返済が再開できるようになるまで何も追求せずに待つのです。場合によっては、5年間での分割払いで4年半分は払い終え、残りの返済に苦しんでいるようなら、銀行は顧客へのプレゼントとして残額の請求を放棄することもあるかもしれません」とスリランカでイスラム金融を普及するMubarak氏は説明する。

 

一方で、悪意ある債務不履行者には、イスラム銀行も強硬な姿勢を取る。そして債務不履行者が猶予期間を過ぎても返済を遅らせている場合、銀行はペナルティ料金を課す。しかし、このお金は銀行の利益にはならず、寄付されるのだ。

 

もしどうしても顧客が返済できない場合、イスラム銀行もその顧客の資産を没収し売却をする。しかし、一般の銀行とは異なり、イスラム銀行はその売却により得たお金から本来返済されるべきだった金額しか収めず、残りは顧客に返し、双方が恩恵を受けるようになっている。

 

次はスリランカにおけるイスラム金融の課題をお伝えします。

この連載は、GTACが提携するスリランカのメディア「ECHELON」が2015年10月に掲載した記事「Demystifying Islamic Finance」を、翻訳・編集したものです。

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連載スリランカから見るイスラム金融の今

『ECHELON(エシュロン)』は、スリランカの三大ビジネス誌のひとつ。著名な経営者・ビジネスパーソンのインタビュー記事から、同国の金融・経済・投資・不動産などの最新事情、ラグジュアリーなアイテムやライフスタイル等の記事を幅広く掲載。経営者層やハイクラスなビジネスパーソンなど、同国の物的・知的富裕層を多数読者に抱える。(写真はチェアマンのChanna De Silva氏)

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