前回は、仮想通貨を「取引所」で売却・出金する方法を解説しました。今回は、「取引所」と「販売所」の違いを見ていきます。

仮想通貨取引所=交換業者各社が、独自の取引所を運営

仮想通貨の売買は、仮想通貨交換業者が運営するWebサイトで行います。このWebサイトは、一般的に「取引所」と呼ばれます。一方、仮想通貨を売買できるWebサイトとして、取引所とは別に、「販売所」と呼ばれるタイプのサイトもあります。

 

名前が似ている上に、販売所も含めて「仮想通貨取引所」と呼ばれることがあるので、少々ややこしいところです。しかし、この2つはまったく異なるものなので、違いをしっかりと理解しておきましょう。

 

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まず、「取引所」はどんな場所なのでしょうか。

 

株式投資の場合、東京証券取引所のような物理的な取引所が存在します。そして証券会社が、投資家の注文を取引所に受け渡すブローカー業務を行っています。

 

また、外貨投資では、物理的な取引所はありませんが、銀行間の国際的なネットワークとしての市場(インターバンク市場)が存在します。FX会社は、インターバンク市場での為替レートをほぼリアルタイムに反映した自社レートを提示し、顧客と相対取引をしています。

 

対して、仮想通貨取引の場合、東京証券取引所やインターバンク市場のような単一の大きな市場は存在しません。その代わり、仮想通貨交換業者の各社が独自の「取引所」を運営しています。いわば、仮想通貨専門のミニ東京証券取引所のようなものを各社が別々に運営している、というイメージです。

 

この取引所はバーチャルな「市場」です。そこに顧客(投資家)を集めてセリを行い、値付けと売買の仲介をしているのが仮想通貨交換業者というわけです。

 

投資家は、好きな取引所に取引口座を開くと、いつでも「セリ」に参加できます。セリの参加者各自が、自分の買いたい(または売りたい)価格と数量を提示すると、その希望販売価格・数量と、希望購入価格・数量が「プライスボード」(「板」とも呼ばれる)にリアルタイムに反映されていきます。

 

そして、購入希望価格と売却希望価格が一致する提示があれば、売買が成立します。ここで売買をしているのは、あくまでセリに参加している投資家同士だということに注意してください。取引所(業者)の役割は、売買の仲介をすることです。そして、売買が成立するごとに、売買金額の一部を手数料として徴収します。手数料は、売買代金の0.1%程度が多いですが、ビットコインについては手数料無料などの独自サービスを行っている取引所もあります。

 

仮想通貨取引所は、株や為替のように単一の取引所がなく、各社が勝手に運営しているといえるわけです。そうなると、各取引所によって値付けがバラバラになるのではないか、と思われた方がいるかもしれません。その通りです。

 

同じ通貨で、取引時刻が同時であっても、各取引所によって価格差が生じます。しかし、相場からあまりにもかけ離れた価格の取引所があった場合、裁定取引(安い取引所で買って、高い取引所で売り、価格差で儲ける)が可能になり、需要と供給の調整が働くため、最終的には、どの取引所もだいたい同じくらいの価格になります。

販売所=交換業者自身が、仮想通貨を販売または買取

次に「販売所」について、見ていきましょう。

 

「販売所」も、仮想通貨交換業者が運営するWebサイトです。こちらは「市場」ではなく「お店」です。つまり、仮想通貨交換業者がみずから、仮想通貨の販売または買取をしているのです。したがって取引は、店(業者)と投資家との間で行われます。店で売買をするだけなので、手数料もかかりません。その代わり、販売価格と買取価格の差額が店の儲けになります。質屋とか古本屋とか、そういうイメージですね。この販売価格と買取価格の差額のことを「スプレッド」と呼びます。

 

販売所のスプレッドは、売買金額の2~3%程度が一般的で、取引所の手数料に比べると、かなり高額になっています。そのため現物取引の場合は、とくに理由がなければ取引所で売買をするのが普通です。

 

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では、手数料が高いのにどうして販売所が使われるのでしょうか。その理由の1つは、店にいつでも商品があるため、ほぼ必ず、すぐに売買できることです。価格が急激に動いているときなど、急いで売買したいときは販売所のほうが使いやすいのです。また、先物やFXなどのデリバティブ取引は基本的に販売所でないと提供ができません(デリバティブ取引の場合は、スプレッドももっと小さいことが普通です)。

 

このように、取引所と販売所はどちらも仮想通貨を売買できる場所ですが、しくみがまったく異なります。

 

仮想通貨交換業者のなかには、GMOコインや、DMM Bitcoinのように、現物取引では販売所の機能しか提供していない業者もあります。また、ビットフライヤーのように、ひとつのWebサイトで取引所と販売所の両方を提供している業者もあります。業者選びの際には、そこで提供されているのが「取引所」なのか「販売所」なのかを確認しなければなりません。

 

ところが、仮想通貨の歴史上では、「取引所」が先に存在したため、「取引所」と「販売所」の総称として「(仮想通貨)取引所」という言葉が使われることがあります。ここは紛らわしいところなので、十分注意してください。

 

なお、改正資金決済法では、仮想通貨の業者は「仮想通貨交換業者」と呼ばれています。そのため、仮想通貨取引所のことを「交換所」と呼ぶこともあります。「交換所」の種類に「取引所」と「販売所」がある、と考えるとわかりやすいかもしれません。

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