相続発生後の株式分散を防ぐ「種類株式」の概要②

前回は、「種類株式」の概要と、具体的な種類を紹介しました。今回も引き続き、「種類株式」の種類について見ていきます。

株主総会の決議により株式の全部を株主から取得できる

前回の続きです。

 

⑥取得条項付種類株式:一定の事由が生じた場合に株式の取得を株主に請求することができる

 

通常は企業の敵対的買収防衛策として利用されることが多いため、事業承継でのメリットは少ないのではないでしょうか。

 

 

⑦全部取得条項付種類株式:株主総会の決議により株式の全部を株主から取得することができる

 

株主が多数に分散しているときに、株主総会の特別決議で既存の株式を全部取得条項付株式とすることで、株式を会社が取得することができます。

 

種類株主総会で、取締役、監査役の選任ができる

⑧拒否権付種類株式(黄金株):株主総会決議のほか、種類株主総会の決議を必要とすることができる

 

黄金株という魅力的な名前ですが、株主総会の決議事項のうち、この拒否権付種類株式の株主で構成される種類株主総会の決議がないといけないという決まりを設けることができます。例えば、役員の選解任、合併等の組織再編や事業譲渡など重要な意思決定に拒否権付種類株式の株主の承認を必要とすることができます。そのため、後継者に会社経営を譲っても、重要な意思決定権だけはオーナーが保有することで後継者の暴走を抑止することができます。

 

 

⑨役員選任権付種類株式:種類株主総会で取締役、監査役を選任することができる

 

普通株式のみの会社であれば株主総会の普通決議で役員を選任できますが、役員選任権付種類株式があれば、役員選任権付種類株主総会の決議がないと役員の選任ができません。そのため、役員選任権だけはオーナーが保有することで後継者の暴走を抑止することができます。

 

 

日ごろ、自社の定款を読み込む機会もあまりないので、これを機会に、自社に種類株式の規定がないか、確認してみてはいかがでしょうか。

 

[図表]種類株式の一覧

 

 

「相続・事業承継」この記事を読んだ方はこんな記事も読んでいます

「事業承継」この記事を読んだ方はこんな記事も読んでいます

連載オーナー社長が知っておきたい「株式承継」の税務・法務

久保公認会計士事務所 代表

2006年、公認会計士試験に合格し、あずさ監査法人(現:有限責任あずさ監査法人)に入所。2011年に退職、経営コンサルティング会社を起業し、税理士法人の経営にも参画。東日本大震災時の中小企業再生支援で後継者育成の重要性に気づき、事業を後継者育成に特化。「3つの資格(公認会計士・税理士・中小企業診断士)」で会計戦略・財務戦略・経営戦略の面から育成支援を行う。

著者紹介

オーナー社長の後継者育成読本

オーナー社長の後継者育成読本

久保 道晴

幻冬舎メディアコンサルティング

経営者の高齢化が進む中で、後継者不在に悩む企業が増えています。 適任者が見当たらない、子どもに継ぐ意思がないなどの理由で次期社長の目途が立たず、やむなく廃業を選択する経営者も少なくありません。 本書はこうした悩…

メルマガ会員限定記事をお読みいただける他、新着記事の一覧をメールで配信。カメハメハ倶楽部主催の各種セミナー案内等、知的武装をし、行動するための情報を厳選してお届けします。

登録していただいた方の中から
毎日抽選で1名様に人気書籍をプレゼント!
会員向けセミナーの一覧