後継者が社長に就任した後の企業では、今後、どのような方向性で事業を推進していくのかを考えなければなりません。本連載では、社長就任後の中長期的な経営戦略の立て方について見ていきます。

経営計画の基本構成は「概要・分析・計画」の3つ

企業の中長期的な戦略をまとめた計画を「経営計画」といいます。

 

Plan(計画)、Do(実行)、Check(確認)、Action(行動)の4つから構成された「PDCAサイクル」はご存じの人も多いでしょう。経営計画は、この中の「Plan(計画)」に位置づけることができます。

 

後継者が経営を改善し、企業を成長させていくプロセスの出発点として、計画は不可欠です。経営計画の組み立て方は様々に考えられますが、オーソドックスな形としては、以下のような3つの章立てにまとめる方法があげられます。

 

①概要の章:沿革や経営状況、企業理念など

②分析の章:環境分析、自社の経営課題など

③計画の章:経営改善の基本方針と施策、行動計画、数値計画など

「概要」では、収益モデルや経営理念などを明らかに

①では、会社の概要、具体的には沿革、組織、設備、売上構成や収益モデルなどを整理します。企業理念では、どういう会社になりたいのかを示す経営理念のほか、顧客に対する考え方、ヒト(従業員)に対する考え方、仕入先、外注先に対する考え方なども明らかにします。後述するように、経営理念については事業を承継した際に改めて見直すことが必要です。

 

②では、自社を取り巻く外部環境や内部環境などを分析し、会社を成長させるために克服すべき「経営課題」を導き出します。

 

経営課題には、「認識しているが手をつけられていない経営課題」「認識できていない経営課題」「これから起こると想定される経営課題」の3つがあるため、これら全てを”見える化”し、それに対して会社・経営者と一体になって解決策を立案・実行していくのです。

 

また、分析のために用いる具体的な手法としては、次回取り上げるような3C分析、SWOT分析、5フォース分析などがあげられます。

 

③で定める経営改善の施策は詳細な行動計画(アクションプラン)に具体化して、部署ごと(責任者ごと)に落とし込みます。

 

また、数値計画は改善策による効果を織り込んだ3か年のP/L(Profit and Loss Statement:損益計算書)をベースに作成し、この3か年計画を年次から月次へとブレイクダウンして実績と比較管理していくのです。

 

経営計画のイメージがよりわかりやすく伝わるよう、これら①から③の内容を書面化した「経営計画書」の目次例を図表にあげましたのでご参照ください。

 

[図表]経営計画書の目次の例

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