前回は、多様な職種の病院スタッフ全員で患者を見守るメリットを説明しました。今回は、医療・介護従事者にとって重要な、コミュニケーション能力について見ていきましょう。

言葉への配慮・気配りが、少し足りないばかりに・・・

その人のことを知って付き合っていく。そこには必ずコミュニケーションというスキルが必要になってきます。

 

そのスキルの中でも基本になるのは「話し言葉」です。せっかくいいことをしているのに言葉が少し足りなくて理解してもらえていないのがもったいないな、と思うことがよくあります。

 

あるいは、そこでその言葉は使わないほうがいいのに、という言葉を使ってしまう。自分では何気なく言ってるつもりでも、それが相手にどう受け取ってもらえるかという部分の配慮や気配りが少し足りない。

 

もしかしたらスマートフォンでの短いメッセージやスタンプでのやりとりが主流になっていることも影響しているのかもしれません。

コミュニケーションにも「練習」が必要

ですが、やはり人間と人間の生身のコミュニケーションでは、お互いに自分の思ってることや伝えたいことを、「言葉」を使ってやりとりし合うことは欠かせないものです。

 

たとえば、私たちの病院のスタッフが学会発表などをするときは「予演会」として、病院内でプレビューの発表をしてもらうのですが、そこでもみんなで発表を聞きながら、もっとこうしたほうが伝わるんじゃないかというのを揉んでいきます。

 

私は、あえて厳しいことを指摘する。そのことで逆に、絶対いい発表にしようとチームが一丸になっていくからです。これが何を意味しているかというと、言葉を使ったコミュニケーションにも練習が必要だということ。友達同士でなんでもない話をするのなら、そんな練習は必要ない。でも、仕事のうえで何か目的があって行うコミュニケーションは、自分流で適当にやっているだけではうまくいかないことも出てきます。

 

例えば、言語聴覚士のスタッフが「言葉がうまくしゃべれない人たちのためのカフェをやりたい」という話を私に持ってきたとします。そのときに、ただ単に「月1回カフェをやりたいんです」と言うのでは伝わらない。

 

少なくとも「いろんな人が来ることができて、自然に社会の一部として話せるような場としてのカフェをやりたい」ということまで伝えられれば、聞く側も印象が違ってきます。世の中の流れとしてなんでも簡潔に効率よくというのがありますが、それが必ずしもいいわけではない。本当は言いたいこと、思っていることがあるのにそれは言わずに済まそうとするのは、逆に非効率なこともあるのだと知っておいてほしいですね。

 

特に言語聴覚士という仕事は、コミュニケーションの専門職でもあり、これからますます大事な役割を担ってくるのではないでしょうか。

本連載は、2017年10月31日刊行の書籍『医療・介護に携わる君たちへ』から抜粋したものです。その後の税制改正等、最新の内容には対応していない可能性もございますので、あらかじめご了承ください。

医療・介護に携わる君たちへ

医療・介護に携わる君たちへ

斉藤 正身

幻冬舎メディアコンサルティング

悩める医療・介護従事者たちへ、スタッフ900人超を抱える医療・社会福祉法人の理事長が送る「心のモヤモヤ」を吹き飛ばすメッセージ! 日々、頑張っているつもりだけどなぜか満たされない、このままでいいのかと不安になる…

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