前回は、グローバル研修で「生まれ変わった」大企業従業員の事例を解説しました。今回は、日本人が「野心的な海外ビジネスパーソン」と渡り合う方法を紹介します。

IT化で崩れた「日本企業の優位性」

知人のアメリカ人教授が指摘するには、たとえばいまの中国は学ぼうという姿勢が非常に強いそうだ。資本主義について経験がない分、アメリカのやり方をそのまま真似ようとしている。結果的に、グローバル化のスピードがとても速いのだ。

 

日本も過去にそのような時代があった。欧米の影響を受けて真っ先に資本主義を取り入れた。だがどこかで傲慢になって、謙虚に学ばなくなったのではないだろうか。全体的に経済を眺めるとむしろ進んでいるが、そのなかで個人のグローバル化、経営のグローバル化だけがやや遅れている気がする。いや、周囲の国がスピードアップしただけかもしれない。

 

それはもちろんIT化の恩恵を受けたからだ。2000年を境に、ITの普及が知の拡散を促進した。これはアメリカのよいところだが、規制がすくなく開放的なので、経営や学問の知識を世界にどんどん発信することができる。

 

その結果、やる気のある個人がノウハウ、ツールを簡単に手に入れられるようになった。いままで日本企業が優位を保っていたのは、閉鎖的な体質で経営技術と知識をオープンにしていなかった面があるといえる。しかし、その頭越しにアメリカの知がベトナムやタイや中国に繋がってしまう時代になったのだ。

個人のパフォーマンスを活かしきれていない日本人

いま、このとき、日本人はどう対応するのか?

 

たとえば日本人のセールスマネージャー(年収1500万円)と中国人のセールスマネージャー(年収300万円)とが、世界の同じ土俵で戦ったとしたら同じパフォーマンスは出せても、現在の給料ほどの差は出せないかもしれない。グローバル化が進めば、いずれ給料も平準化されてくるだろう。中国人にとっては上がるが、日本人にとっては下がるという未来だ。もちろんパフォーマンスにおいて負けるといっているわけではない。

 

日本人には日本人の強みがある。問題は日本企業の旧態依然とした官僚的な組織だ。それを打破して動かすことができれば、日本人のバリュー、これまでの能力やスキルに大きなレバレッジがかかり最大限に有効利用できる。

 

世界各国の野心的なビジネスパーソンたちは、TEDやMOOCなどを通じて、経営フレームワーク、英語力、コミュニケーション能力を身につけている。個人レベルでは、日本人エリートの上をいく人も多い。だが、社会全体で見れば、中国は法律も未整備で混乱している。個人のパフォーマンスを活かしきれていないところがある。

 

そこで日本人ビジネスパーソンに求められるのは、グローバルな地平でいかに協働していくかという気持ちと5つのスキルではないだろうか(詳しくは本書籍をご覧ください)。

 

グローバリゼーションは、人と人がフラットな関係で、お互いに切磋琢磨し合える環境をつくりだす。もしもあなたに、こうなりたい、こうしたいというビジョンがあれば、あとは努力次第で、スキルはいくらでもトレーナブルだ。

 

人は、変われるのだ。

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