今回は、M&A業者による「ノンネームシート」の取り扱いに注意が必要な理由を見ていきます。※本連載では、事業承継の選択肢のひとつとして、M&Aの基礎知識を紹介します。

知らず知らずのうちに「売却情報」が流出!?

中小企業のM&Aでは、不動産業界のように、売却情報が知らず知らずのうちに流れてしまっていることがあります。悪気なくやってしまっているM&A業者も多いので、業者に相談する際は、しっかり自社の情報をコントロールするように努めましょう。

 

出回るのはノンネームシート

M&Aでの売却を検討する際、会社の履歴書のようなものを社名を伏せて作成します。それがノンネームシートと呼ばれるものです。ノンネームシートを元に買い手に興味あるかないか伺うために使われます。しかし、出す情報によっては会社自体が特定されてしまうことが、あります。

 

特定されやすいケース

1.特殊な業界・事業内容等を記載する

ニッチな業界、事業内容で、地域や従業員数がわかっている場合、詳しい人であれば何社かに簡単に絞れてしまいます。

 

2.情報を出しすぎている

社長の年齢を生年月日まで出していたり、設立年度もしっかり出していたり、売り上げも一桁まで出したノンネームシートになっていると情報漏れリスクが高まります。もちろん、相談ベースでは包み隠さず話すべきですが、ノンネームシートの情報でどんな情報を開示して探すのか確認しましょう。

 

どうやって買い手を集めるか聞く

業者によっては、買い手とのネットワークがあまりない業者もいます。特に小さい規模でやっている業者はそんな傾向があります。買い手とネットワークがない場合、ネットワークのある他の業者にノンネームシートを見せて買い手を紹介してもらい、紹介料を払うといったことも、実は非常に多く行われているのです。

 

業者から業者にノンネームシートが渡るのは悪いこと?

そもそもノンネームシートが他業者に渡るのが100%悪いとは言えるものではありません。売り手企業の内容が売りづらければ自分だけで買い手を見つけるのは至難の技だからです。また、自前で買い手ネットワークを構築している大きな業者は最低でも1000万円以上の手数料がかかることが多いので、規模が小さい会社で内容がよくなければ仕方ないとも言えます。

 

しかし、どんな風に買い手を探すかを許可取らずに業者から業者にノンネームシートを渡す業者も中にはいるので、その点だけはチェックしましょう。

突然、業者から面談を求める手紙が・・・

実際に出回ってしまっていることが確定されたケース

Aという業者に売却の相談をしたB社長がいました。B社長は65歳の経営者で、売り上げ4千万円の不動産仲介会社を営んでおり、近年は業績が下がり気味で社員の平均年齢が50歳を超えているような会社でした。

 

半年後、急に面談できないかとCという業者から手紙が来ます。中々決まらなかったので、Cに会ってみると、すでに買い手を持っているとのこと。なぜうちのことを知ったのかと聞くと、御社とは特定できないが、御社のような会社が売りに出ていると業界で出回っていたと話しています。Aは知っているか? と聞いたら知らないと答えました。

 

このように、頼んだはずの業者を知らない別の業者から連絡が来る場合、自社の情報が漏れているケースがあります。もちろん、帝国データバンクや東京商工リサーチから、買い手が求める会社をリストアップしてひたすら営業をかけている業者もいるため、必ずしも情報が漏れているために、他業者から連絡が来るわけではありませんが、こういった事例もあるのです。実際にM&A業者に買い手を募る場合は、ノンネームシートはどんな情報を開示するのか? どうやって買い手を募るのか? 一度聞いてみるといいと思います。

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    本連載は、株式会社M&Aクラウドのサイト『M&A to Z』(https://media.macloud.jp)から転載したものです。

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