今回は、なぜ事業承継の準備は「3年前」から始めるべきなのかを見ていきます。※本連載では、事業承継の選択肢のひとつとして、M&Aの基礎知識を紹介します。

後継者育成・自社株対策には「準備期間」が必要

事業承継の準備は3年前から始めるのが鉄則だという専門家の意見をよく耳にします。準備することが多いとは言え、なぜ3年もかかってしまうのでしょうか? M&Aで売却する場合と後継者に承継する場合で理由を明らかにしていきます。

 

後継者がいる場合

 

実際に、親族や社内に後継者候補がいる場合に3年前から準備すべきという理由を調べてみます。

 

1.後継者育成・引き継ぎに時間がかかる

経営者が実際に育成にかかると考えている期間で最も多いのが5年~10年です。次点で3~5年となっています。実際に自分が引退を考えている年齢から逆算して準備しましょう。

 

2.相続の自社株対策に時間がかかる

相続税を減税するために、相続する時期から数えて3年前から業績の調整などで相続税対策をされている経営者が多いです。非上場企業の株式の相続税は、数千万以上かかることも多く非常に大きな負担になります。事業承継の際の相続税・贈与税の猶予制度もあるので、税理士の先生に早めに相談しておきましょう。

 

3.借り入れを減らすのに時間がかかる

後継者に対して、債務を残した状態で承継したくないと考える経営者は多いと言えます。特に、親族ではない社内の人間や社外から採用してくる場合は、個人の連帯保証の金額もネックになることから、財務体質の整理には並並ならぬ労力がかかります。

平均で6ヶ月~1年の期間が必要となる「M&Aの交渉」

M&Aによる承継を考えている場合

 

1.財務体質の整理に時間がかかる

例えば、役員報酬を取りすぎていたり、公私混同な経理体制になっていると財務を綺麗にするのに時間がかかります。もちろん、M&Aの際は、実質的な営業キャッシュフローを出した上で売却価格を求めるので、節税によって最終利益が減っていることであれば買い手も容認するでしょう。

 

2.誰でも回せるようにするのに、時間がかかる

M&Aで、他者に会社を引き継ぐ場合、次期社長を買った会社、社内、親族を据えるなど、契約で柔軟に決めることができます。しかし、会社を買う側からすると誰がこの会社を回していくのか?ということを詰めてくるのが一般的です。なので、売却後キーマンが辞めないようにしていく必要があります。

 

最悪のケースは社外から売却の情報を社内の人間が聞いてしまったというケースです。この場合、社員が辞めて、M&A自体も破談になるなど最悪なことが起こる例が多数あります。必要がない限りはメインバンクや顧問税理士などにも伏せておき、従業員にも、例外を除いて最終契約当日まで伏せておきましょう。

 

3.M&Aの交渉期間は6ヶ月~1年

M&A自体が時間を要するものです。M&Aの交渉は平均6ヶ月~1年かかると言われています。特に不人気の業界や債務超過、赤字体質であると見つけるのに時間がかかる場合があります。M&Aは、時間に余裕を持って臨む必要があり、急いでいることが買い手に伝わると足元を見てくるケースがあります。業績がよく、業界もいい時に素早く執り行いたいものです。

本連載は、株式会社M&Aクラウドのサイト『M&A to Z』(https://media.macloud.jp)から転載したものです。

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