今回は、IPO株の初値や当日の株価が高騰しがちな理由を見ていきます。※本連載では、IPO関連情報の集積度で日本一を誇るサイト「IPOジャパン」編集長の西堀敬氏の著書『IPO投資の基本と儲け方ズバリ!』(すばる舎)から一部を抜粋し、IPO株で「超短期の公募買い・初値売り」を成功させるための投資手法を紹介していきます。

「売買代金の大きさ」が最大の理由⁉

IPO株の初値が飛びやすい理由を、さらに詳しく押さえておきましょう。

 

例えば、初値が公開価格の3~4倍にもなる銘柄が、毎年必ず1社は出てきます。普通は公開価格ですらPER20~30倍以上なのに、初値が公開価格の3~4倍にもなったらPERは100倍を超してしまいます。かなり割高な水準ですが、それでも初値を買う投資家がいるのはなぜでしょう?

 

PERが高いのは事業の成長性が高いと思われているから、というのが常識的な考え方ですから、IPOで初値が飛ぶ銘柄は、すべて事業の成長性が高いと判断されているのでしょうか?

 

後講釈ですが、初値が飛んだからといって、その銘柄の上場後の業績も伸びるとは限りません。逆に、業績が伸び悩んだり崩れたりする銘柄もあります。では、投資家は企業がIPOするときだけは期待値が上がり、その会社の事業に成長性があると錯覚してしまうのでしょうか?

 

実際には、初値を含んだ上場当日の株価では、IPOした企業の成長性やバリュエーションなどはまったく顧みられていない、といったほうがより実態に近いでしょう。そうではなく、初値や当日の株価が高騰しがちな最大の理由は、その売買代金の大きさにあります。

いつでも約定できるのが、IPO株の上場当日の特徴

実際に下に、2016年にIPOした83銘柄について、初値が付いた日の売買代金と資金調達額の一覧をまとめてみました。すると、2016年のIPO銘柄の売買代金は、40億円以上の銘柄が過半数を越しています。

 

東証マザーズやジャスダックでは、40億円を超す売買代金の銘柄など日に数銘柄しかありません。また、40億円と言えば、東証1部の売買代金ランキングでも上位100銘柄に入るほどです。TOPIX100などは、外資系のヘッジファンドがシステムで売買する銘柄ですが、上場当日のIPO株には、そうしたヘッジファンドが売買する銘柄にも匹敵する売買代金があるのです。

 

それは、流動性がすごく高いということです。そして流動性が高いということは、売り注文と買い注文の密度が高く(板が厚く)、買ったらすぐに売れることを意味します。その証拠に、売買代金を資金調達額で割った上場初日の売買回転率は、平均で4.5倍となっています。

 

つまり、自分の売りたいとき、あるいは買いたいときに、いつでも約定ができることが、IPO株の上場当日の特徴なのです。売買の約定不出来になるリスクが低く、それがデイトレーダー諸氏にとっては最大の魅力になります。ですから、上場当日のバリュエーションがどんなに高かろうが、そんなことはお構いなしに、売買されることで株価が上昇するケースが多いのです。

 

[図表]2016年IPO株の上場当日の売買代金・調達額・回転率

 

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    本連載は、西堀敬氏の著書『IPO投資の基本と儲け方ズバリ!』(すばる舎)から一部を抜粋したものです。掲載している情報は、投資の勧誘や個別銘柄の売買を推奨するものではありません。投資はご自分の判断で行ってください。本連載を利用したことによるいかなる損害などについても、著者、出版社および幻冬舎グループはその責を負いません。

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