今回は、新時代の資金調達法「ICO」のしくみを説明します。※本連載は、NTTデータ経営研究所でシニアコンサルタントとして活躍する桜井駿氏の著書、『超図解ブロックチェーン入門』(日本能率協会マネジメントセンター)の中から一部を抜粋し、ブロックチェーンがもたらす様々な変化について、具体例と図解で分かりやすく紹介します。

ブロックチェーンや仮想通貨のしくみで資金を集める

資金調達法の1つにIPOがあります。IPOとは、Initial Public Offeringの略で、「新規公開株式」のことです。自社の株式を投資家に売り出すことで証券取引所に上場し、誰でもその企業の株が取引できるようになるというものであり、これにより企業は自社の株式を売り出すことで資金を調達します。

 

また、クラウドファンディングと呼ばれる資金調達手法も近年注目を集めています。自社のプロジェクトや商品企画に賛同する人々からインターネットを介して事業資金を集めるしくみです。

 

こうしたIPOやクラウドファンディングと同様の手法をブロックチェーンや仮想通貨のしくみで実現し注目を集めているのがICOです。

実施主体の精査が極めて重要に

ICOはInitial Coin Offeringの略で、実施主体(企業・団体・個人)は独自の仮想通貨やブロックチェーン上のトークン(株式のようなもの)を発行し、投資家に販売することで資金を調達します。

 

IPOによる株式を上場させる場合、取引所が定める一定の企業規模の審査、企業内部の統制の整備、監査など多くの手続きを証券会社や監査法人、弁護士事務所などを通じて行うため、コストと時間を要するのが普通です。

 

ICOであれば、こうしたプロセスを排除して、発行した仮想通貨を仮想通貨の取引所に上場させたり、ブロックチェーン上でトークンを取引できたりすることができます。実際にICOを用いて資金調達を行った事例はすでに多数出てきています。

 

ただしデメリットもあります。審査や監査といった所定の手続きがないために、ICOが善意にもとづくものか、その内容の見極めのハードルが高いことです。資金調達を行う者にとっては、新手法として選択肢が広がる一方、投資家は、実施主体の十分な情報収集や精査が極めて重要となります。

 

[図表]ICOのしくみ

超図解ブロックチェーン入門

超図解ブロックチェーン入門

桜井 駿

日本能率協会マネジメントセンター

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