前回に引き続き、年金にかかる「税金」を種類別に探ります。今回は、扶養控除申告書や源泉徴収票について、より詳しく説明します。※本連載は、社会保険労働保険手続きや給与計算等に関するアドバイスを行う、社会保険労務士法人小林労務管理事務所の著書、『これ一冊でぜんぶわかる!年金のしくみともらい方2017~2018年版』(ナツメ社)の中から一部を抜粋し、ややこしい年金制度の「しくみ」と、年金の正しい「もらい方」について分かりやすく説明します。

給与も年金も受け取っている際に提出する書類とは?

会社から給与の支払いを受けていて、老齢年金も受け取っている場合には、会社には、「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」、年金事務所には、「公的年金等の受給者の扶養親族等申告書」を提出します。

 

ただし、配偶者または扶養親族にかかる控除および受給者本人にかかる障害者控除などの各種控除を二重に受けることはできないので、「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」に扶養親族等に関する内容を記入して提出する場合、年金事務所に提出する申告書には扶養親族等に関する内容を記入しないで提出し、後日確定申告を行いましょう。

 

なお、間違って各種控除について、「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」と「公的年金等の受給者の扶養親族等申告書」の両方に記入してしまった場合でも、確定申告に行けば正しく所得税を計算して精算してもらえます。

 

<源泉徴収票は毎年1月に届く>

 

老齢年金を受けている人には、毎年1月中に日本年金事務所から公的年金等の源泉徴収票が届きます。遺族年金や障害年金を受けている人には、もともと所得税がかからないので届きません。

 

源泉徴収票に記載されている支払金額は、2月支払い分から12月支払い分まで(1月に支払いがあった場合は、1月支払い分も含む)の金額です。

 

<キーワード>

源泉徴収票

給与や公的年金等を支払いする者が、その支払額やそれに応じて源泉徴収した所得税額を記した書面です。

 

65歳以上の場合は、老齢年金から住民税が「天引き」

老齢年金には住民税もかかります。その年の4月1日に65歳以上である場合は、老齢年金から住民税が天引きされます。

 

65歳未満の人で、会社に勤務し給与の支払いを受けていて、老齢年金も受け取っている場合は、給与と老齢年金にかかる住民税がまとめて給与から天引きされますので、老齢年金から住民税は天引きされません。

 

その後、65歳になると、これまで給与からまとめて引かれていた老齢年金分の住民税が給与からは天引きされなくなり、老齢年金から天引きがはじまります。

 

65歳になると、急に住民税が老齢年金から天引きされて、住民税が給与と二重に引かれているという問い合わせがよくあります。給与と二重で引かれているわけではなく、これまでまとめて給与から天引きされていた老齢年金分が、老齢年金から引かれるように移動しただけです。

 

<キーワード>

住民税

住んでいる自治体が課税する都道府県民税と市町村税の2つをあわせて住民税といいます。

これ一冊でぜんぶわかる! 年金のしくみともらい方2017~2018年版

これ一冊でぜんぶわかる! 年金のしくみともらい方2017~2018年版

社会保険労務士法人 小林労務管理事務所

ナツメ社

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